エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.674
2018.07.31 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
「Click BIOS 5」の左上に搭載されているボタンが「GAME BOOST」だ。押すだけワンタッチで自動に安全圏のオーバークロックを実行してくれる |
先ほどチェックした「Click BIOS 5」の画面では、「EZ Mode」と「Advanced Mode」ともに簡易オーバークロック機能の「GAME BOOST」を設定できる。切り替えはクリックするだけと簡単、面倒な設定は一切不要で誰でもオーバークロックの恩恵が受けられる。
今回テストに使用したRyzen 5 2400Gの場合は、「GAME BOOST」の有効化により3.6GHzから3.85GHzへと、250MHzほどクロックが上昇した。さすがにマザーボードが安全圏内と判断しているだけのことはあり、動作も不安定になることはまったくなかった。
CPU-ZでRyzen 5 2400Gの挙動をチェック。「GAME BOOST」をオンにすると、動作クロックが3.85GHzにアップした。ただしこの状態にクロックが張り付けになるため、省電力重視のユーザーは注意した方がいいだろう |
そしてCPUベンチマークの「CINEBENCH R15」を動作させたところ、小幅なクロック上昇ながらマルチコアでは3%ほどのスコアアップを確認した。Ryzenシリーズは全モデルがオーバークロックに対応しているため、あと一息性能を盛りたい時には、ノーリスクで簡単な「GAME BOOST」を試す価値は多いにあるだろう。
続いては、ゲームプレイにおけるオーバークロックの効果を「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」ベンチマークで確かめる。描画品質を“最高品質”、解像度を1,920×1,080ドットと1,280×720ドットの2パターンで計測を行った。
結果は5~7%ほどのスコア差が生まれるなど、十分な効果を確認できた。特により負荷の高い環境において差が広がる傾向にあるようで、常にハイパフォーマンスを意識したいゲームプレイ時には、オーバークロックの恩恵がより実感できそうだ。
初代Ryzen対応のMSI製マザーボードとしては、最も売れたモデル「B350 TOMAHAWK」の上位版とあって、「B450 TOMAHAWK」は期待通りの出来栄えだった。そもそも「TOMAHAWK」が位置するのはハイレベルのコストパフォーマンスが問われるセグメントであり、その中で最もお買い得感が高いモデルとして「B350 TOMAHAWK」が支持を集めたのは、バランスの良い搭載機能。カジュアルユーザーが必要とする機能を厳選しつつ、贅肉を削ぎ落としたような質実剛健さこそ、ちょうどよさを求める層にマッチしたというワケだ。
SLIやMVNe RAIDなどの限られた機能を除けば、あまり上位チップとの差を感じないAMD B450搭載モデルの快作。従来の堅実な機能にカッコよさが加わり、より魅力的なミドル向けマザーになった |
そしてその発展型として現れた「B450 TOMAHAWK」だが、もちろん単に搭載チップが変わっただけではない。厳選された機能や「ミリタリークラス5」準拠の高い信頼性などのコンセプトはそのままに、拡大されたイルミネーション機能やスタイリッシュなビジュアルへの変身など、より洗練の度合いを増した。前世代は質実剛健に重きを置くあまりに地味さも漂っていたところ、華麗な脱皮を果たしたといえる。
新世代のAMDプラットフォームには、「StoreMI」をはじめとする注目機能が追加されたこともあり、もはやAMD 300シリーズを積極的に選ぶ理由はなくなった。これから第2世代Ryzenをベースにミドル志向のマシンを組もうとするなら、この「B450 TOMAHAWK」が再び“ちょうどよい”選択肢として注目されることになりそうだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社