エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.675
2018.08.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次に消費電力を確認しておこう。今回は「CINEBENCH R15」実行時の最大値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の数値をアイドル時に設定した。なお計測にはログを取得できる“Wattup Pro”を使用している。
マザーボードが異なるため若干の誤差はあるものの、アイドル時は省電力機能が有効に働きいずれも50W前後で横並び。また高負荷時はTDP 95WのRyzen 5 2600Xが177.8W、TDP 105WのRyzen 7 2700Xでは211.1Wまで上がるのに対して、“無印”モデルはいずれも130W前後までしか上がらず消費電力の違いはかなり大きい。特にRyzen 7 2700は8コア/16スレッドモデルとしては圧倒的に消費電力が少なく、ワットパフォーマンスを重視するなら第2世代Ryzenの中で最もオススメだ。
ベンチマークテストのラストはCPUの温度をチェックしておこう。測定条件は「消費電力」と同じ。なお前回(室温18.7℃)と今回(室温25.4℃)では、測定時の室温に大きな開きがあり、同一条件の計測ではない点には留意いただきたい。
省電力機能によって同レベルまで消費電力が引き下げられるアイドル時は、最も大型の「Wraith Prism」が付属するRyzen 7 2700Xが唯一30℃を下回る結果。それ以外のCPUも30℃前半に抑えられており、リテールクーラーの冷却性能に不安はない。また高負荷時の温度を確認すると、「Wraith Spire with RGB LED」が付属するRyzen 7 2700は56.3℃。それより小型の「Wraith Stealth」が付属するRyzen 7 2600でも62.5℃までしか上がらず、“無印”モデルの発熱がかなり低く抑えられていることが確認できた。
「HWiNFO64」で確認したところ、“無印”モデルではTctlとTdieの温度はまったく同じに設定されていた |
今回は第2世代Ryzenシリーズの“無印”モデルにスポットを当て検証を進めてきた。純粋なパフォーマンス、特に動作クロックが重要になるシングルスレッド処理が中心のソフトウェア(およびゲーム)では、Ryzen 7 2700とRyzen 5 2600Xで一部逆転しているスコアもあるなど、“X”モデルが全体的に優勢だ。
その一方で、消費電力はRyzen 5 2600Xとの比較でも40W以上、TDP 105Wに設定されているRyzen 7 2700Xとの比較では実に約80Wもの差がついた。リテールクーラーによる冷却性能にも大きな違いがあり、ワットパフォーマンスや扱いやすさを総合的に判断すると、“無印”モデルは実にバランスの取れた製品に仕上げられている。
リテールクーラーでも無理なく冷却できる低発熱や、高いワットパフォーマンスが魅力の“無印”モデル。ここに来て価格も下がり、まさにスキのない製品になった |
また初代モデルと同じく、自動チューニング機能を除けば、“X”モデルと“無印”モデルで機能面での違いがほとんどないのも大きな特徴。発売当初、あまり差がなかった販売価格差は5,000円前後に広がった。コストパフォーマンスにも優れる“無印”モデルは、これから第2世代Ryzenシリーズを使ってPCを組み立てるなら間違いなくオススメだ。
協力:日本AMD株式会社