エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.679
2018.08.18 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次に総合ベンチマークテスト「Sandra 2017」の「メモリの帯域」と「メモリのレイテンシ」を使い、3種類のメモリプロファイルによってどの程度性能に差が出るのかチェックしていこう。
まず「メモリの帯域」を確認すると、XMP2.0/3,600MHz駆動時は「整数メモリ帯域」が32.19GB/sec、「浮動小数点メモリ帯域」が32.13GB/secを計測。いずれもJEDEC/2,666MHzより約25%も上昇しており、高クロックメモリの恩恵はかなり大きいことがわかる。またJEDEC/2,666MHz(レイテンシ19-19-19-43)とXMP2.0/2,666MHz(同16-16-16-39)を比較すると、後者の方が約3%スコアが高く、高クロックメモリに対応しないシステムでも低レイテンシメモリを使うことで、若干ながらパフォーマンスを引き上げることができる。
続いて「メモリのレイテンシ」を確認していこう。こちらもやはり最もスコアが高いのはXMP2.0/3,600MHzで、JEDEC/2,666MHzと比較すると約20%も高いスコア。またJEDEC/2,666MHzとXMP2.0/2,666MHzのスコア差も約5%へと広がっており、帯域幅に比べると影響が大きいことがわかる。
最後にメモリモジュールの温度を確認していこう。なおADATA「XPG SPECTRIX D80」にはサーマルセンサーが搭載されていないため、温度の測定にはiOS専用サーモグラフィー「FLIR ONE for iOS」を使用。アイドル時の温度は起動直後10分間放置した状態、高負荷時の温度は「AIDA 64:Stress system memory」を30分動作させた状態でそれぞれ計測を行っている。
JEDEC/2,666MHz駆動のアイドル時のサーモグラフィー結果 | JEDEC/2,666MHz駆動の高負荷時のサーモグラフィー結果 |
XMP2.0/3,600MHz駆動のアイドル時のサーモグラフィー結果 | XMP2.0/3,600MHz駆動の高負荷時のサーモグラフィー結果 |
JEDEC/2,666MHzとXMP2.0/3,600MHzでは動作クロックだけでなく、動作電圧も1.20Vから1.35Vに引き上げられているが、アイドル時、高負荷時ともサーモグラフィー画像に大きな違いは見られず、冷却性能にはまだ余力があるようだ。また高負荷時の画像ではメモリチップの表面にあるヒートシンクだけでなく、上部のクーラント液にも熱が拡散しており、シッカリと水冷ユニットが動作している様子が確認できた。
DDR4メモリでは初となる“ハイブリッド冷却”機構を備えた「XPG SPECTRIX D80」シリーズ。ADATAの謳い文句通りその冷却性能は本物で、3,600MHzという高クロック動作にも関わらず、高負荷状態が続くストレステストを楽にクリア。パフォーマンス面での上積みも大きく、特にメモリ帯域が重要になるマルチスレッド処理では力を発揮してくれることだろう。
またクーラント液を通して柔らかく光るRGB LEDイルミネーション機能も大きな魅力。専用ユーティリティを使えばアドレサブルRGB LEDのような細かなカラー制御も可能なことから、これまでのメモリにはないユニークなドレスアップ効果が期待できる。
ゲーマー向けハイエンドモデルらしく、実用性に加え美しい外観を兼ね備えた「XPG SPECTRIX D80」シリーズ。今後は予定されている通り5,000MHzモデルを始めとした、さらなる高クロックモデルの早期登場にぜひ期待したい。
協力:エイデータテクノロジージャパン株式会社