エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.683
2018.09.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ASRockの独自ユーティリティ「A-Tuning」。トップ画面に並んだ3つのモードを切り替えるだけで、簡易チューニングが行える |
第2世代Ryzenは全モデルがオーバークロックに対応しているが、そうしたチューニングに苦手意識を持っている人もいるだろう。ASRockが提供している独自ユーティリティの「A-Tuning」では、ニーズやシチュエーションに合わせて切り替えられる「Performance Mode」「Standard Mode」「Power Saving」の3パターンの動作モードが用意されている。誰でも手軽にワンタッチで簡易のチューニングができるというワケだ。
Ryzen 7 2700の挙動を「CPU-Z」でチェックしてみよう。ユーティリティを使わない定格状態では、低負荷時には2,700MHzほど、高負荷時にはターボ機能で4,100MHzまでクロックが上昇している |
「Standard Mode」では、低負荷時には1,500MHz程度までクロックを落とすものの、高負荷時には4,000MHzまでクロックが上昇。よりメリハリのある動作になっている |
「Performance Mode」は最も性能重視だが、クロックはおおむね3,500MHz前後。ただしクロックがほとんど低下せず、高水準のクロックに張り付きで動作する仕様のようだ |
「Power Saving」は、文字通り省電力志向のモード。最大でも3,300MHz程度で、高負荷時以外はストンとクロックを落としていたのが印象的だった |
「CINEBENCH R15」の結果を見てみると、常に高水準のクロックで動作しているためか、「Performance Mode」が最もマルチコアでいいスコアを出している。「Standard Mode」はマルチコアだけでなくシングルコアでも通常の定格動作を上回り、バランスの良い動作パターンが設定されているようだ。一方で「Power Saving」はどちらのスコアも一番低くなっているが、モード選択中は短時間でシステムがスタンバイに入るなど、徹底して省電力志向で動作するよう設定されていた。
なお、モード選択で変わるのは動作パターンであり、大幅なクロック上昇がないため消費電力はほとんど変わらず。アイドル時で95~101W、高負荷時に164~167Wと大差がなかった。ただしどの程度の電力で推移するかはモードごとに大きく性格が異なるため、シチュエーションに合わせて最適なモードをチョイスしたい。
第2世代Ryzenのポテンシャルをフルに活かせるAMD 400シリーズの普及価格帯チップとあって、AMD B450搭載マザーボードは、エントリー・ミドルレンジユーザーが待ち望んでいた存在だ。さらにスモールフォームファクタのモデルが多く登場したことで、最新のAMDプラットフォームにおける自作の自由度も大きく広がった。この機会に第2世代Ryzenでマシンを組み上げようという向きには、コスト面でも無理なく手を出せるモデルが多数揃っている。
その多彩なラインナップの中にあって、「B450M Pro4」は決して最安クラスのモデルではない。単純に安さを求めるのであれば、メモリスロットの本数を抑えたり機能を制限したりといった、コスト重視の低価格モデルを選ぶことになるだろう。しかし1万円前後の手頃な価格設定にも関わらず、「B450M Pro4」のもつ信頼性や搭載機能は、まさにお値段以上の魅力がある。
ATXモデル並の機能を背伸びせずに手に入れられる、AMD B450搭載MicroATXマザーボードの傑作モデル。同一価格帯では、トップクラスのコスパの良さをもっている |
コストパフォーマンスモデルながら「Super Alloy」仕様の9フェーズ電源を搭載する優れた信頼性は、マザーボードとして特に頼もしいポイント。さらにデュアルM.2(Ultra M.2+M.2)やデュアルUSB3.1 Gen2ポートといった、拡張性やインターフェイスの充実も見逃せない。機能が制限されがちなMicroATXマザーボードながら、そうしたハンデを感じさせない点はお見事だ。ASRockのB450搭載製品でこのモデルが最も売れているという実績にも、なるほど納得がいく。
その一方で、RGBイルミネーションやメタルスロットなどの機能はオミットするなど、コスト面で過剰にならないように配慮。このあたりのバランス感覚こそ、歴代高い人気を誇る「Pro」シリーズの面目躍如だろう。AMD 400世代からハズレなしでお手頃なMicroATXマザーボードを選ぶなら、無視できない1枚になるハズだ。
協力:ASRock Incorporation