エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.684
2018.09.13 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
定格はもちろんオーバークロックでの運用も視野に、19フェーズもの堅牢な電源回路を搭載する「MEG X399 CREATION」。そこで最後にプロファイルを選択するだけの簡易チューニング機能「Game Boost」を使い、どこまで性能を引き上げることができるのかチェックしてみることにした。
「Game Boost」は基板上のノブ(画像左)または「Click BIOS 5」(画像右)の左上から設定できる |
+900MHzの「Set 8」ならベンチマークやストレステストもクリアすることができた | +1,100MHzの「Set 11」ではOSの起動は可能だが、ベンチマークを完走させることができなかった |
今回のCPUでは、+1,100MHzの「Set 11」でもOSの起動は可能だが、ストレステストやベンチマークを実行するとフリーズしてしまう。そこで、段階的にプリセットを下げていったところ+900MHzの「Set 8」ならいずれも問題なく動作させることができた。
また「CINEBENCH R15」のスコアを確認すると、シングルコアテストは最高4.20GHzまでクロックが上がる定格の方が約4%高いスコア。一方マルチコアテストでは「Set 8」が約20%上回り、6,000ポイントの大台を突破。プロファイルを選択するだけ(またはノブを回すだけ)の簡易チューニングとしては十分な結果と言えるだろう。
続いて消費電力を確認すると、「Set 8」では省電力機構が無効になるためアイドル時でも104.4Wとかなり高め。また高負荷テスト「OCCT 4.5.1」実行時の最高値は定格の316.5Wに対して、「Set 8」では459.2Wまで上昇し、その差は142.5Wと大きく開いた。TDP 250WのRyzen Threadripper WXシリーズでオーバークロックをする場合には、マザーボードの電源回路はもちろん電源ユニットも良質なものを用意したい。
定格/アイドル時のサーモグラフィー結果 | 定格/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
「Set 8」/アイドル時のサーモグラフィー結果 | 「Set 8」/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
最後にサーモグラフィーの結果を確認すると、アイドル時はほとんど温度に違いなし。142.5Wも消費電力が増加する高負荷時でも最高温度の差は4℃とわずかしかなく、19フェーズという多段構成と大型のヒートシンクを搭載する「MEG X399 CREATION」では、まだまだ余力がありそうだ。
大幅なスペックアップにもかかわらず、プラットフォームの互換性が維持されている第2世代Ryzen Threadripper。従来のAMD X399マザーボードでもBIOSをアップデートするだけで動作させることができる。しかし、上位モデル「WX」シリーズではTDPが180Wから250Wへと引き上げられ、電源回路への負担はこれまでよりはるかに大きくなっている。
実際、一部の製品では電源回路の発熱が増え、冷却に不安があることからマザーボードの交換を検討しているという人も少なくないと聞く。そんなユーザーにとって、オーバークロックでもビクともしない堅牢さと高い冷却性能を併せ持つデジタル電源回路を備えた「MEG X399 CREATION」はまさにうってつけ。
さらに強力な冷却性能を誇る「M.2 Shield FROZR」を備えた3基の「Turbo M.2」や、4台のNVMe M.2 SSDを搭載できる「M.2 XPANDER-AERO」、Intel製デュアルギガビットLAN+1.73Gbpsの高速無線LANなど、コンシューマ向けマザーボードとして考えられる要素をほぼすべて兼ね備えた「MEG X399 CREATION」は、まさに最高峰のCPUの相棒にふさわしい1枚だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社