編集部で使ってみた
2018.09.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
「TG-M2SSD-ABR」搭載済みのSSDをM.2スロットに装着したところ。4隅のツメも拡張スロットより低く抑えられていた |
M.2スロットの直上にあるPCI-Express3.0(x16)スロットにグラフィックカードを搭載したところ。2スロットを専有するクーラーにも全く干渉していない |
Thermal Grizzly「TG-M2SSD-ABR」の取り付けが完了したところで、ここからは「CrystalDiskMark 6.0.1」を使い、気になる冷却能力をチェックしていこう。テストに使用するSSDはIntel「600p」シリーズの256GBモデル「SSDPEKKW256G7X1」で、SSDの温度と転送速度は「HWiNFO64 v5.88」を使い測定を行った。なおテスト環境の詳細は、以下の「テスト機材構成表」を参照いただきたい。
単体の「CrystalDiskMark 6.0.1」のスコア | 「TG-M2SSD-ABR」装着時の「CrystalDiskMark 6.0.1」のスコア |
今回はテスト回数“9回”、データサイズ“32GiB”の最も負荷の高い設定を2回繰り返して実行しているが、単体時はデータ準備の段階から温度が一気に上昇し、シーケンシャル読込テストを実施する時にはすでに75℃を記録。その後は温度上昇を抑えるためサーマルスロットリングが頻繁に発生し、シーケンシャル読込は1,150MB/sec前後、書込は450MB/sec前後でスコアが頭打ちになる。一方、「TG-M2SSD-ABR」装着時は温度の上昇が緩やかになり、シーケンシャル読込テスト開始時の温度は46℃、最高値も55℃までしか上がらなかった。最高温度の差は実に20℃で、薄型のヒートシンクにもかかわらずその効果は非常に大きい。
単体/アイドル時のサーモグラフィー結果 | 単体/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
「TG-M2SSD-ABR」装着/アイドル時のサーモグラフィー結果 | 「TG-M2SSD-ABR」装着/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
またサーモグラフィーの結果を確認すると、ヒートシンク搭載時はアイドル・高負荷時ともヒートシンク全体にまんべんなく熱が拡散しており、熱伝導率8W/m・kという高性能サーマルパッド「minus pad 8」によって効率的に熱の移動が行われていることが確認できる。
全高をわずか10mmに抑えたことで、グラフィックカードをはじめとした拡張カードと干渉することなく使用することができるThermal Grizzly「TG-M2SSD-ABR」。クラス最高レベルの熱伝導率を誇るサーマルパッド「minus pad 8」のおかげもあり、冷却性能も優秀。今回の高負荷テストでは実に20℃も温度が低下しており、サーマルスロットリングを解消することができた。
冷却性能だけでなく扱いやすさにも配慮したThermal Grizzly「TG-M2SSD-ABR」。最後発モデルらしい完成度の高い製品だ |
また固定方式もロープロファイルモデルに多い粘着テープや粘着性のサーマルパッドではなく、はめ込み式を採用しているため、SSDのラベルなどを痛めることなく使えるのも嬉しい。さらにSSDを買い替えた場合でも簡単に流用できるのも大きなメリットだ。
最新モデルでは、ミドルレンジクラスの製品でも3,000MB/secを超える高速化を実現している一方で、発熱に関しては劇的な改善がみられないNVMe M.2 SSD。未だ冷却対策を施していないなら、手軽かつ周辺のコンポーネントとの干渉なく使用できるThermal Grizzly「TG-M2SSD-ABR」の導入を検討してみるといいだろう。
協力:株式会社親和産業