エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.689
2018.10.22 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
現在、ASUSのIntelマザーボードは4つのブランドを展開。エントリーゲーマーやPC自作初心者向けとなる「TUF GAMING」。コアゲーマー向けモデル「ROG STRIX」、そして、ブランドの頂点に位置するエンスージアストゲーマーやオーバークロック向けのフラッグシップモデル「ROG MAXIMUS」。エントリーモデルの「PRIME」を除くと、いずれもゲーミング向けが主力の製品構成だ。
Intel Z390チップセットによる新機能は、H370ですでに採用されている最大転送速度1.73GbpsのIEEE 802.11ac無線LANとBluetooth 5.0コンボカードが増設できる「Integrated Intel Wireless-AC(CNVi)スロット」の対応。さらに帯域幅10GbpsのUSB3.1 Gen.2をチップセット機能に統合した点のみ。Intel Z370世代から大きな変更点がないだけに、Intel Z390マザーボードで追加された新機能は大事なポイントだ。その点、今回検証する「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」は、ROG MAXIMUSシリーズ内のグレードでは最も手頃な製品ながら、新しいデザインに加え最新の機能とギミックもしっかり盛り込まれている。
「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」 実売価格税込42,000円前後 製品情報(ASUS) |
8コア/16スレッドのIntel Core 9000シリーズに最適化されているチップセット「Intel Z390」だが、チップセット自体はマイナーバーションアップに留まっている |
「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」では、PCケース装備のOLED(Organic Light Emitting Diode)パネルにPC情報を表示させたり、電源ユニットのファンを制御できるようになる「ASUS NODE」を採用している。今のところ対応製品はないが、現在PCケースや電源ユニットなどパートナー各社の協力のもと開発が進められている。
OLEDやファンなどをマザーボードで制御可能にする「ASUS Node」。「ROG」シリーズは、Mini-ITXモデルを除く全製品に搭載される |
また、LEDイルミネーション周りのデザインが前世代から変更。バックパネルI/OカバーのブランドネームLEDがなくなり、電子回路のパターンのように発光する。さらにチップセットヒートシンクもR.O.G.ロゴに加え、回路パターンが追加されていた。
バックパネルI/Oカバー、チップセットヒートシンクは回路パターンのように光るデザインになっている |
ここからは、特徴や基本スペックを確認していこう。消費電力が増加し、電源回路への負荷が増加する8コア/16スレッドのIntel Core 9000シリーズ。「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」では、電源周りの強化に加え新機能を搭載。CPU補助電源はEPS 8pinに加え、4pinコネクタが追加され、最大5GHzで動作する「Core i9-9900K」でも安定動作を可能とした。
パッケージはこれまでレッドカラーがメインだったが、ブラックベースにレッドカラーが入ったデザインに変更。シリーズで統一されている |
電源回路にはオーバークロック状態の高負荷動作を想定して設計された「Extreme Engine Digi+」を搭載。低負荷時でも90%の高効率を通常の半分サイズで実現する「NexFET MOSFETs」や、低損失で発熱を抑えたチョークコイル「MicroFine Alloy Chokes」、通常のコンデンサと比べ5倍の寿命を備える「10K Black Metallic Capacitors」といった、「ROG MAXIMUS」シリーズお馴染みの高品質・高耐久なコンポーネントが実装されている。
そして高クロック化が進むメモリの安定性や互換性を向上させるASUS独自機能「OptiMem」は、隣接回路が発するノイズなどが原因で起こるクロストーク(混線)を大幅に低減するシールドゾーンが追加された「OptiMem II」に進化。対応メモリクロックは前モデルのDDR4-4133MHzからDDR4-4400MHzにアップしている。
パッケージ裏面には、スペックや特徴が分かりやすく網羅されている |
そのほか、冷却ヒートシンクを装備する2基のPCI-Express3.0(x4)対応M.2スロットや、IEEE802.11acとBluetooth 5.0をサポートする「Intel Wireless-AC 9560」、高音質かつ迫力あるサウンドを実現するゲーム向けオーディオの「ROG SupremeFX」を搭載している。
また、アドレサブルLEDヘッダとLEDヘッダピンを各2基装備。DIY水冷向けの温度センサーピン、簡単操作でオーバークロックや冷却性能を最適化する「5-WAY OPTIMIZATION」機能、ドライバの更新を自動でチェックする「ARMOURY CRATE」なども用意される。CPUの常用オーバークロックやDIY水冷&LEDイルミネーションによる魅せるPCの構築など、さまざまな用途、パーツ構成にフィットするオールラウンドなマザーボードと言えるだろう。