エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.689
2018.10.22 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
テストの最後は標準装備するM.2ヒートシンクの冷却性能を試してみよう。「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」は2基のM.2スロットを備え、いずれもヒートシンクを装備しているが、ここではより熱が溜まりやすいCPUソケット直下の「M.2_1 Socket」でテストしている。テストは「CrystalDiskMark 6.0.1」を4GiBで実行。その際の温度を「HWiNFO」で記録したほか、コントローラーやNANDチップの発熱が増加するシーケンシャルライトのテストをサーモカメラで撮影した。
M.2ヒートシンクなしでは、あっという間にサーマルスロットリングが発生する75℃をオーバー。サーモグラフィーではコントローラー部が84℃まで上昇していた。それが、ヒートシンク装着後は最大52℃と26℃も低下。MOSFETヒートシンクの計測時と同じく、CPUクーラーはオールインワン水冷ユニットなので、標準装備のM.2ヒートシンクは、放熱効果が非常に高いと言える。
「サーモグラフィー結果」(ヒートシンクあり) | 「サーモグラフィー結果」(ヒートシンクなし) |
チップセットの機能面はマイナーバージョンアップに留まるIntel Z390。そんな中、「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」は、Intel Core 9000シリーズ向けに強化、改良されたのが最大のポイントだ。とくに8コア/16スレッドのCore i9-9900Kでも、まったく不安のない高い冷却性能を発揮したMOSFETヒートシンクや、CPUのみで200Wオーバーの消費電力を安定して供給する堅牢な10フェーズ電源回路。そしてコア電圧をアップさせたオーバークロックにも対応できる8pin+4pin構成のCPU補助電源は非常に魅力的。Intel Core 9000シリーズだけではなく、先代の6コア/12スレッドモデル「Core i7-8700K」や「Core i7-8086K」にもベストな1枚だろう。
また、オーバークロック設定にASUS謹製のプリセットが豊富に用意されているのもポイント。オーバークロック初心者でも、Core i9-9900Kを使ったオールコア5GHzオーバー動作を狙うことができる。
そのほか、高い冷却性能を発揮するフルカバーM.2ヒートシンクに、充実のアドレサブルLEDヘッダによるLED制御機能、DIY水冷向けの温度センサーを装備。自動で最新のドライバ、ユーティリティを導入する「Armoury Crate」も非常に使い勝手がいい。「ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」は、これまで以上に価格と性能、機能のバランスが取れたオールラウンドな1枚になっている。
協力:ASUS JAPAN株式会社