エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.693
2018.11.01 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
最後に水冷ユニットを搭載してみよう。兄弟モデル「OPHION」よりも45mm背が高い「OPHION EVO」は、トップパネル部に240mmサイズラジエターが固定できる。内部容積からDIY水冷は難しいが、オールインワン型水冷ユニットは搭載が可能。そこでRAIJINTEK「ORCUS 240」を用意し、搭載テストを試みた。
「OPHION EVO」レコメンドであり、言うなればオフィシャルなオールインワン型水冷ユニット「ORCUS 240」は、搭載例のイメージ画像を製品サイトで見る事ができる。それを手本に組み込みを行ってみると、多少大雑把なケーブル処理を気にしなければ、おおよそ同じような出来映えになった。と言うのも、スペース的に余裕が無いため、あれこれ工夫しようにも選択肢は限られている。その中で最良のカタチにすると、自ずと搭載例のイメージ画像になるというワケだ。
組み込み手順は「ORCUS 240」同梱のマニュアルに習い、ウォーターブロックの取り付け、ラジエターの取り付けの順で進行。今回は空冷「JUNO X」からの換装とあって、マザーボードの配線から取り外しまで、ほぼ初めからの作業になってしまった。ときに内部の狭さは作業の妨げにはなるものの、”どうにもならない”という事態に陥ることは無い。1度でもMini-ITX規格のミニPCを自作した経験があるユーザーならば理解頂けると思うが”解けそうで解ける”面倒なパズルのように、根気よく作業をすれば必ず完成する。Mini-ITX特有の感覚は、筐体が違っても同じである事が分かった。
ラジエター+冷却ファンの真下はスペースはかなりタイト。ケーブルを巻き込まないように起動前確認は確実に行う必要がある。なおウォーターブロック回りは空きスペースができるため、ヒートスプレッダ付きメモリが搭載できるようになる |
個人的感想でしかないが、ATXミドルタワーPCケースに比べ、Mini-ITX規格のミニPCユーザーは”愛好家”という呼び方が似合う。造詣深くあれこれ情報を交換し合い、自作PCを存分に楽しんでいる。限られたスペースをいかにして効率的かつ有効活用しPCを組み上げるか、という要素が加わる事で、拡張性の高さをウリにする大型PCケースには無い工夫や知恵、そしてちょっとしたテクニックが必要になる。ここにミニPC愛好家達は魅力を感じているのだろう。
RAIJINTEK「OPHION EVO」の前評判が高い事は理解していた。「COMPUTEX TAIPEI 2018」のブースレポートで取り上げて以来、ずいぶんと長い間、多くのアクセスを集めた。そして国内販売に先駆けて実機に触れ、Mini-ITX規格のミニPCならではの要素が詰まった、想像通りの秀作である事が分かった。RAIJINTEKがこだわる外装、さらに中央のトレイを境に構成パーツを左右に振り分けた内部設計。1モデルに留めず、空冷向け「OPHION」、水冷向け「OPHION EVO」をわざわざ用意するあたり、ミニPC愛好家の心理を理解したニクい計らいだ。
ひとつだけ気になるのは売価だ。想像よりも高いと感じた人が多いようだが、ライザーケーブルの標準装備を思えば妥当なところではないだろうか。価格以上の価値はある。
協力:RAIJINTEK Corporation.
株式会社アイティーシー