エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.699
2018.11.23 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
続いてパフォーマンスと同様に気になる、消費電力を見ていこう。計測には「Watts up? Pro」を使用し、「Time Spy」のストレステストを実行した際の最大消費電力を高負荷時、PC操作を何もせずに10分放置した際の消費電力をアイドル時とした。
製造プロセスが12nm FinFETにシュリンクされているRadeon RX 590。しかし、そのマージンをコアクロックの引き上げに割り当てているようで、定格相当となる「Silent Settings」で33W、オーバークロック仕様の「NITRO Boost Settings」では45Wも消費電力が増加している。ワットパフォーマンスの引き上げには、アーキテクチャの刷新を待つ必要がありそうだ。
テストセッションのラストは、「NITRO+ RADEON RX 590 8G GDDR5 SPECIAL EDITION」の魅力のひとつでもある、「Dual-X」クーラーの性能をチェックしていこう。なお、GPU温度の計測は消費電力と同じ。騒音値はテスト実行中の最大ファン回転数と、低~中負荷時の回転数を抽出して計測した。
「NITRO Boost Settings」と「Silent Settings」のコアクロックの差はわずか15MHzのため、GPUの温度に大きな違いはなし。また、高負荷時の温度は75℃、ファンの回転数は最高でも約50%の1,600rpm前後で、冷却性能にはまだまだ余裕がある。
騒音値もファンのあるサイドでは44.9dBAまで上昇しているが、リアでは39.2dBAで頭打ち。PCケースに収めてしまえば気になることはないだろう。ベンチマークテスト中の大部分を占めた1,200rpmでは、ファン側でも40.2dBAまでしか上がらず静音性はとても優秀だ。
コアクロックの大幅な引き上げにより、Radeon RX 580から順当に性能を伸ばしたRadeon RX 590。メインターゲットに据えるフルHD解像度では、高画質設定でも快適なゲームプレイを楽しめる性能を発揮し、まさにAMDの謳い文句通りの仕上がりだ。消費電力についてはやや残念だが、このクラスのシステムであれば大きな問題にはならないだろう。また、冒頭で紹介したキャンペーンを考えるとコストパフォーマンスも良好。フルHD液晶の組み合わせで、ゲームを楽しんでいる大多数のユーザーには満足のいくものだろう。
そんなRadeon RX 590のポテンシャルを、GPUコアとメモリのチューニングによって、さらに引き出しているのが「NITRO+ RADEON RX 590 8G GDDR5 SPECIAL EDITION」だ。特にメモリのチューニングの効果は大きく、ほぼすべてのベンチマークでリファレンスを上回るスコアを計測。そして高い冷却性能と静音性に加え、ドレスアップ要素も兼ね備えた「Dual-X」クーラーなど、その完成度は高い。他社製品よりやや高めの価格設定も十分納得のいく魅力ある製品だ。
協力:SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED
株式会社アスク