エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.705
2018.12.24 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
さて各種テストの締めくくりとして、ベンチマーク中におけるシステムの挙動を確認しておきたい。全コア5GHzへのクロックチューニングにより、果たしてどれほどの温度上昇があったのか。「CINEBENCH R15」動作中におけるCPUとVRMの温度変化を「HWMonitor」を使用して計測した。
5GHz動作時では高負荷時に93℃まで上昇しているが、ある程度想定内の変化に収まった。ただし今回は240mmラジエターのオールインワン水冷をクーラーとして用いているため、対応TDPの低い空冷クーラーの場合は、100℃に届いてしまう可能性もある。さらに温度を引き下げたい場合にはより大型のラジエターを備えた水冷モデルをチョイスするなど、常用するにはある程度高性能なクーラーが必須といえる。
また、VRM温度の方は定格でも70℃以上をマークするなど、やや高めな印象。今回は電源周りにほぼエアフローが存在しない環境でのテストだったため、その条件が影響したのかもしれない。ファンを組み込んだケース内であれば、もう少し良い条件での動作が見込めるだろう。
そして最後に、それぞれの設定におけるシステムの消費電力をチェックしてテストセッションを締めくくろう。「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」のベンチマーク(4K設定)を動作させ、その際の最大値をワットチェッカーを用いて計測した。
結果としては、アイドル時には10W程度、高負荷時でも40Wほどという差に収まった。おそらくこのマザーボードをチョイスする場合はハイエンド志向のシステムになることが想定されるため、電源ユニットも十分な容量が確保されているはず。かなりヘビーなオーバークロックを施すのでなければ、それほど神経質になる必要はないかもしれない。
Intel Z390搭載マザーボードがローンチを迎えた際、当時の最上位モデルとして発売された「Z390 AORUS MASTER」をレビューした。なるほど搭載機能はウルトラハイエンドに相応しく、それでいて価格は(クラス相応の水準としては)控えめであったことから、だいぶお得感のあるマザーボードという印象だった。
ところが今回手元に届けられた「Z390 AORUS XTREME」は、7万円超という驚きの価格を引っさげ登場したプレミアムモデル。ともにエンスー・ハードコアゲーマー向けの製品ながら、だいぶ性格の異なるモデルであることは容易に想像ができる。
一言で言えば、「Z390 AORUS XTREME」というモデルは、Intel Z390搭載マザーボードの中にあって“ないものがない”という十全の搭載機能が魅力。クラス最高峰のフェーズ数を揃えた堅牢な電源回路や、ともすればやりすぎ感すら漂う冷却機構、10ギガビットLANやスタジオ級を謳うオーディオ、SLI対応の装甲スロットにヒートシンク付きのトリプルM.2、デュアルThunderbolt 3、全身に備えたRGBライティングなど、枚挙にいとまがない。
さらにオーバークロッカー向けの専用コンソールや、豊富なRGBデバイスの制御を可能にする拡張コントローラなど、付属品も豪華そのもの。どのような構成を選ぶにしろ、Z390ベースのマシンを組む際に、あらゆるニーズを受け止めるだけの機能性・ポテンシャルを備えている。
そもそも7万円超という価格からして、万人受けを狙った製品でないことは明らか。最強CPUのCore i9-9900Kをコアとして、まったく妥協しないマシンを組むためのマザーボード、ということになるだろう。グラフィックスは当然のようにGeForce RTX 2080 TiかRTX 2080あたりをチョイス、もうその頃にはマザーボードの価格のことは忘れているに違いない。
協力:GIGABYTE Technology