エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.707
2018.12.28 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi
次にハードチューブにより、グラフィックスカードとフロント固定のラジエター、およびポンプ一体型リザーバーを接続する。水冷初心者にとって緊張する作業かもしれないが、それほど心配する事はない。CPUの冷却にオールインワン型水冷ユニットを使用することで、ハードチューブによる構築は簡素化。難易度が高そうなハードチューブの加工は、90°の曲げを1回行うL字型のチューブが1本。その他3本は長さを調節した直線のハードチューブを用意するのみだ。なお、このセッションでクーラント液の温度と流量が確認できるデジタル流量計「Pacific TF1Temperature and Flow Indicator」(型番:CL-W219-PL00BL-A)も接続する。
必要なパーツ類の搭載が完了したところ。このあとハードチューブ接続工程に入る |
作業の前に、必要な工具類を確認。ハードチューブを使ったDIY水冷構築には、加工の際に使う専用工具が必要になる。Thermaltakeでは、ハードチューブ用カッターや切断面を削るリーマー、チューブを曲げるマンドレルなどが含まれている便利なキット「Pacific Hard Tube Bender Kit」(型番:CL-W093-AL00BL-A)を用意。初めてDIY水冷に挑戦する人にとって、ひとつあると便利だろう。
DIY水冷に必要な工具がセットになった「Pacific Hard Tube Bender Kit」。対応しているチューブは外径寸法16mm、内径寸法12mmまで |
また、忘れてはならないのがヒートガンの準備。ハードチューブ加工の際には両手がふさがるため、「上向きに設置できるタイプ」を選択しよう。温度は500℃前後に対応しているものであれば問題ない。
ハードチューブ加工に必須となるのがヒートガン。忘れずに用意しておこう |
まずは、グラフィックスカードとデジタル流量計までのショート区間から。グラフィックスカード側に90°曲げるエルボータイプのフィッティング、さらにデジタル流量計に通常のフィッティングを取り付け、その間に短い直線のハードチューブを挟みこむように接続する。
切断にはハードチューブ用カッターを使用。フィッティングに挿し込む分の約1mmも考慮してカットしていく。なお各パーツのあそびで対応できるため、実際には2mmまでを目安にカットするといい |
次にデジタル流量計「Pacific TF1 Temperature and Flow Indicator」とポンプ一体型リザーバーまでの区間を作業する。このアイテムは、クーラント液の温度が45℃以上、もしくは流量が60L/h以下の場合にはアラートとビープ音で報告する警告機能を備え、いち早く水冷システムの異常を検知することができる。「見た目にもカッコイイので是非導入を」と門馬氏もイチオシのパーツだ。
フィッティングはG1/4、電源はSATA 15pinで、材質は銅とABS。本体サイズはW44.6×D60×H35.5mm、重量100g。電源コネクタの位置がトップにくる点が少し残念 |
デジタル流量計の右側にエルボータイプのフィッティング、ポンプ一体型リザーバーに90°アダプターを取り付け、その間に約70mmの直線ハードチューブを装着する。
デジタル流量計の液晶表画面が上下反対にならないように注意し、ハードチューブで接続していく。切断箇所の目安はマジックでしっかりマーキングしておこう |
3番目はポンプ一体型リザーバーからフロントラジエターまでの区間。ポンプ一体型リザーバーに90°アダプターを、フロントラジエターに通常のフィッティングを取り付ける。その間に約40mmの短い直線ハードチューブを装着して完了する。
ハードチューブ用カッターは、10mm以下の短いハードチューブカットが苦手。門馬氏は自前のハンドタ イプチューブカッターを使用していたが、金切のこぎりで切断しても構わない |
最後はグラフィックスカードとフロントラジエターまでの最長区間。90°の曲げ加工を1回行い、L字型のチューブを製作する。まずは想定しているルートにチューブをあてがい、目視でおおよその距離を確認。曲げる箇所をしっかりとマジックでマーキングしておく。
グラフィックスカードとフロントのラジエターを接続するため、ラジエター側のフィッティングから、リザーバーのフィッティングまでの距離を計測する |
計測が終わったらいよいよ曲げ加工に入る。まずは中性洗剤を吹き付けて滑りがよくなったシリコンチューブを、ハードチューブ内部に挿入する。これを行う事により熱を持って柔らかくなったハードチューブがつぶれないようにする役割を果たす。必ず使用しよう。
次にヒートガンを使い、曲げたいポイントの左右30mmに狙いをつけ、集中的に熱していく。30秒ほどで柔らかくなったところでハードチューブを曲げる工具・マンドレルを使い、溝に沿って素早く曲げる。両手を使い10秒ほど抑えつければ完成だ。なおヒートガンの熱風温度は300℃〜400℃に設定する。
マーキングしたポイントを中心にグニャリという感触を感じたら、ヒートガンのスイッチをOFF。火傷しないように気をつけながら、熱くなったチューブをゆっくり曲げていこう |
フィッティング内部のOリング分の約1mmを考慮し、約2mm長めにカットしておく | ハードチューブ完成後、長さや角度のズレをチェックする |
最後にハードチューブやフィッティング内部をしっかりとタオル等で拭く「脱脂」を行う。ハードチューブが抜けやすくなるのを防ぐ。なお、ハードチューブの加工と接続については、前回レビューに詳しいので参照してほしい。
ハードチューブの接続が完了。フィッティングに対してハードチューブがしっかりと接続されているか実際に触って確認しておく |
ケース内を華やかに彩るRGB LEDアイテムも紹介しておこう。「Pacific Lumi Plus LED Strip 3Pack」(型番:CL-O014-PL00SW-A)は、アドレス指定に対応する長さ300mmのRGB LEDストリップが3本と、最大10本のストリップを制御できる専用コントローラーが同梱。マグネットによる柔軟な設置が可能で、ケース内の好きな場所に取り付けることができる。今回はボトムカバー(シュラウド)の上に1本取り付けている。
水冷環境とは関係なく導入できるRGB LEDオプション。手軽にケース内をドレスアップしたい向きにはぴったり |