エルミタ的「編集部で使ってみた」
2019.01.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
続いて、無線LANルーターのUSB3.1 Gen.1(USB3.0)ポートに接続したSSDに共有フォルダーを作成し、約5.5GBのデータをコピーするのにかかった時間と、最小・最大転送速度をチェックしていこう。
スコアを確認すると「Windows 10共有フォルダー」より転送速度が低下していることから、USBポートを使ったNAS化は無線LANルーターにとってかなり負荷の大きい処理であることがわかる。また転送速度を比較すると「RT-AX88U」のほうが5GHz帯では約30%、2.4GHz帯でも約15%高速なことから、クアッドコアプロセッサBroadcom「BCM4908」のパフォーマンスはかなり優秀であることが伺える。
最後に、無線LANルーターを選択する上で、転送速度と並び重要な要素になる電波強度を確認していこう。測定ポイントは本体を設置した「洋室1」、廊下を挟んだ向かいにある「洋室2」、その横にある「和室」、最も遠い位置にある「リビング」の4箇所。また今回は「PCE-AC88」を搭載したPCに加え、ソニー「Xperia XZ1」でも測定を行っている。
まず「PCE-AC88」のスコアを確認すると、「洋室1」「洋室2」ではいずれのルーターでも信号強度に問題なし。OSの表示でもシグナル状態は2.4GHz帯、5GHz帯とも5本で、通信も安定している。ただし距離が離れる「和室」になると「WXR-1900DHP」では、障害物に弱い5GHz帯は-71dBmまで電波強度が低下。さらに普段は中継機を使い電波を飛ばしている「リビング」では、信号を受信することができなくなった。一方「RT-AX88U」では、「和室」でも2.4GHz帯は-59dBm、5GHz帯でも-65dBmで通信にも大きな支障はなかった。さすがに最も遠いリビングでは、5GHz帯は不安定だが、2.4GHz帯についてはWebブラウジングやメールなどでは大きな遅延もなく、安定した通信ができた。
続いて「Xperia XZ1」の結果を確認していこう。こちらも「洋室1」「洋室2」は特に問題なし。しかし「和室」では、「WXR-1900DHP」の2.4GHz/5GHz帯と「RT-AX88U」の5GHz帯では早くも通信が安定しなかった。一方「RT-AX88U」の2.4GHz帯はリビングでも-68dBmを維持しており、特に問題なく運用することができた。「WXR-1900DHP」も決して電波強度の弱い製品ではないが、「RT-AX88U」との比較ではかなり大きな違いが出ている。
次世代無線LAN規格IEEE 802.11axをいち早くサポートした「RT-AX88U」。今回は対応子機が存在しないためIEEE 802.11ac環境で検証を行ったが、最大転送速度1,300Mbpsの無線ルーターと入れ替えで、約20%もパフォーマンスを改善することができた。実際にはIEEE 802.11ac対応モデルでも、転送速度は433Mbpsや866Mbpsに制限されているものも多く、そういった製品からならより効果は顕著になるはずだ。
またクアッドコアのパワフルなプロセッサを採用したことで、USBポートを使った仮想NAS性能も大幅に向上。さらに4本の大型アンテナとビームフォーミング機能によって、電波強度も大幅に改善することができた。欲を言えば、高速無線LANの性能を活かすことができる、マルチギガビットLANポートは欲しかったが、それ以外については、最近のトレンドであるメッシュネットワークをはじめ、無線LANルーターに求められる機能はほぼ全て網羅されていた。
その真価を発揮するには、対応子機の登場を待つ必要があるものの、こちらも時間の問題。もし、現在使っている無線LANルーターに不満があるなら、「RT-AX88U」をいち早く導入して、超高速な無線LAN環境へのステップアップをワクワクしながら待つのもアリだろう。
協力:ASUS JAPAN株式会社