エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.711
2019.01.12 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
Phanteks「ENTHOO EVOLV X GLASS」の外装から内部構造まで、くまなく解説が終わったところで実際にPCパーツを組み込み、作業における注意点や組み込みのポイント、さらに周辺クリアランスなどをチェックしていこう。
まずはじめにマザーボードを搭載してみよう。E-ATX規格から搭載ができる広いマザーボードトレイに、今回は最も一般的なATX規格(305x244m)のマザーボードを用意した。なお「ENTHOO EVOLV X GLASS」には予めスタンドオフが要所に固定されているため、搭載テストでは追加する必要がなく、付属の「M3x5mm Motherboard / SSD / ODD screw」でネジ留めするだけだった。
ATX規格のネジ穴には、予めスタンドが装着済み(黄色丸印)。さらに上段と中段の中央部には凸状のスタンドオフが使われているため、位置決めも楽に行う事ができた |
周辺クリアランスは、天板までが約65mm、フロントパネルまでの右方向は約165mm確保されている。ただし「Stackable HDD Bracket」を装着した場合は約55mmに短縮される |
マザーボードの搭載を終えたところで、CPUクーラーの有効スペースをチェックしよう。ちなみに公称値は高さ190mmまでだが、実際にCPUからの距離を測るとほぼ数値通りだった。幅の広いPCケースとあってクリアランスは十分確保されており、大口径冷却ファンを搭載するハイエンド志向のサイドフロー型CPUクーラーも搭載できるだろう。
CPUソケット上空のクリアランスは十分に確保されており、多くの選択肢からCPUクーラーがチョイスできる | CPUクーラーメンテナンスホールは実測で幅約180mm、高さ約130mm。カット面積は広く、大判のバックパネルを露出させるには十分だろう |
広くCPUクーラーのクリアランスが確保されているとは言え、水冷を選択する人は多いだろう。特にエンスージアスト向けとされるPCケースだけに、その割合が増える事は容易に想像できる。そこで簡易水冷ユニットのマウントを試した。
用意したのはCooler Master「MasterLiquid ML360R RGB」(型番:MLX-D36M-A20PC-R1)。360mmサイズラジエターを搭載した高冷却志向のオールインワン型水冷クーラーだ |
ラジエター(360mmサイズ)をトップパネルに固定。スリーブタイプのチューブに接続されたポンプ一体型ウォーターブロックを装着すれば、難なく搭載が完了した。開口部が広くサイズにも余裕がある事に加え、トップパネルは着脱が可能。作業がしにくいロングタイプのラジエターや3基の120mm口径ファンは、PCケースから外した状態でネジ留めができる。
組み込みのし易さは、良いPCケースとされるひとつの要素。「ENTHOO EVOLV X GLASS」の取り外せるトップパネルは、ラジエターや冷却ファンの固定、さらに組み込み後は着脱しにくくなる補助電源コネクタへのアクセスも容易になる。これらのメリットは非常に大きい |
「ENTHOO EVOLV X GLASS」はDIY水冷構築向けにも要所で最適化されている。まずボトムカバー内のフロント寄り底面に、オプションの「Pump Bracket」(型番:PH-PUMBKT_01)の設置ができるネジ穴を装備。ユニバーサルポンプブラケットを台座に、汎用ポンプが固定できる。さらに4枚のケーブルマネジメント用「ケーブルカバー」を外すと、リザーバーブラケットが固定できるスリット(ネジ穴)があらわになり、任意の箇所に設置ができるようになっている。
ラジエターやポンプ等の設置を想定した、ボトムカバー前寄りのカット。開口部は実測で幅約95mm(冷却ファン含まず)、奥行き約150mm。画像右はオプションの「Pump Bracket」(型番:PH-PUMBKT_01) |
「ケーブルカバー」を外すとあらわになる、リザーバーブラケット固定用スリット(ネジ穴)。マニュアルによるとピッチは26mmとされる |
さらにシャーシ側トップパネルには冷却水の注水ができる「FILL PORT」を装備。またシャーシ側フロントパネル右下にも冷却水の排水に役立つドレインバルブ固定用の「DRAIN PORT」を備えた。自社ブランドのDIY水冷パーツも手掛けるPhanteksだけに、今後”ENTHOO”系PCケースの多くにDIY水冷に最適化された仕掛けが搭載される事になるだろう。
トップパネルに装備される「FILL PORT」 | シャーシ側フロントパネル右下にある「DRAIN PORT」 |