エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.712
2019.01.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
続いて「ATTO Disk Benchmark 3.05」で、シーケンシャルアクセスの最高性能を確認しておこう。
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
シーケンシャルアクセスの最高値として扱われることが多い「ATTO Disk Benchmark 3.05」。読込は最高2.090MB/sec、書込は最高1,190MB/secで、いずれもほぼ公称値通りのスコア。さらに1MB以降のデータサイズではスコアのブレもほとんどなく、シーケンシャルアクセスについては、すべてのベンチマークで優秀な結果を叩き出した。
「XPG SX6000 Pro」シリーズに付属する「XPGヒートシンク」は3Mテープで貼り付けるタイプ。粘着力は高く、一度貼り付けると剥がすのは難しい |
発熱の多い、NVMeコントローラを効率よく冷却するため、専用ヒートシンク「XPGヒートシンク」が付属するADATA「XPG SX6000 Pro」シリーズ。最後にその冷却性能を確認しておこう。負荷テストは「CrystalDiskMark 6.0.2」をデータサイズ32GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施。その温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」で測定した。なお今回は比較対象として、ASRock「Z390 Extreme4」に標準装備されているM.2ヒートシンクでも測定を行っている。
ヒートシンク非搭載時の「CrystalDiskMark 6.0.2」スコア | XPGヒートシンク搭載時の「CrystalDiskMark 6.0.2」スコア |
マザーボードヒートシンク搭載時の「CrystalDiskMark 6.0.2」スコア |
最近のマザーボードに付属するヒートシンクや、サードパーティ製のものに比べると非常に薄い「XPGヒートシンク」。常に40℃台をキープできる「Z390 Extreme4」のヒートシンクとの差は確かに大きいが、高負荷時の温度は98℃から82℃へ16℃も低下し、その効果は確実にある。マザーボードにヒートシンクが付属しない場合は、忘れずに貼り付けておこう。
また周辺コンポーネントと干渉する心配がないため、NUCなどの小型システムに使う場合には重宝するだろう。なお転送速度については、いずれの環境でもサーマルスロットリングと思われる症状はなく、Realtek「RTS5763DL」は温度耐性に優れたコントローラのようだ。
ヒートシンクなし/アイドル時のサーモグラフィー結果 | ヒートシンクなし/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
「XPGヒートシンク」搭載時/アイドル時のサーモグラフィー結果 | 「XPGヒートシンク」搭載時/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
マザーボードヒートシンク搭載時/アイドル時のサーモグラフィー結果 | マザーボードヒートシンク搭載時/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
NVMe M.2 SSDでは珍しい、DRAMキャッシュ非対応のRealtek製コントローラを採用することで、低価格を実現したADATA「XPG SX6000 Pro」シリーズ。さすがにパフォーマンスを重視したハイエンドモデルとは差があるものの、「HMB」と「SLC Caching」を組み合わせたデュアルキャッシュ機構のおかげで、ミドルレンジクラスの製品とは十分に渡り合える性能を発揮した。
またシーケンシャルアクセスは、すべてのベンチマークでスコアが安定しているのも大きな特徴。ランダムアクセスについては、4GiBを超えるデータを苦手としているが、実際の運用でこれほど大きいファイルにアクセスすることはほとんどなく、一般的な運用であればDRAMキャッシュレスのデメリットを感じることはないだろう。
発熱対策用のヒートシンクが標準で付属しており、追加投資が必要ないのもコストを重視するユーザーには嬉しい |
そして、コンシューマ向けモデルでは最高クラスとなる200万時間のMTBFや、300TBW(512GBモデル)の書込耐性、5年間の長期保証など、エントリーモデルながら、信頼性や耐久面にもまったく不安はない。未だNVMe M.2 SSDを導入していないなら、コストパフォーマンスに優れる「XPG SX6000 Pro」シリーズで、1ランク上のストレージ環境を堪能してみてはいかがだろうか。
協力:エイデータテクノロジージャパン株式会社