エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.717
2019.02.11 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ここからは「GeForce RTX 2080 Ti LIGHTNING Z」が装備する超巨大クーラー「TRI-FROZR」の実力を検証していこう。今回は「3DMark」の「Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、それぞれのGPU温度、ファン回転数、騒音値を測定した。
GPUの温度はオーバークロックに関係なく、アイドル時が40℃台前半、高負荷時でも70℃前後までしか上がらず、公称消費電力350Wの発熱を完全に抑え込むことができている。ファンの回転数も1,500rpm前後(稼働率約50%)で推移しており、まだまだ余力を残している状態。手動でかなりピーキーなチューニングを行った場合でも、冷却性能が不足することはないだろう。
続いて騒音値を確認すると、アイドル時は35dBA弱で推移し、バラック状態ながらセミファンレス製品との違いを感じることはなかった。また高負荷時でもノイズレベルは最高41.2dBAまでしか上がらず、PCケースに組み込んでしまえば「OC Scanner」の状態でも風切り音が気になることはないだろう。
ベンチマークテストのラストは消費電力をチェックしておこう。なおテスト条件は、前項の冷却テストと全く同じにした。
アイドル時は省電力機能が有効に働くため、70W前半と一般的な範囲に収まっている。一方、高負荷時は出荷時で480W、「OC Scanner」の状態では500Wを超え、シングルグラフィックスとしてはかなり多い。とは言え650W~750Wクラスの電源ユニットでまかなえる計算で、このクラスのグラフィックスカードを導入するユーザーにとっては、それほど大きな問題ではない。
GeForce RTX 20シリーズの中でも最上位に位置づけられるGeForce RTX 2080 Ti。すでに多くのメーカーから、完全オリジナル仕様のカスタムモデルが登場しているが、その中でも「GeForce RTX 2080 Ti LIGHTNING Z」は頭一つ抜けた存在だ。「DrMOS」による19フェーズの電源回路や、12層のカスタムPCB、出荷時設定で消費電力350Wの発熱を静音動作で抑え込むオリジナルクーラー「TRI-FROZR」など、構成されるパーツはいずれも厳選されたものばかり。
そしてこれら高品質な設計に支えられ、出荷時のチューニングもGeForce RTX 2080 Tiとしてはかなりハイレベル。DXR無効の状態なら4K解像度でも最高画質で、DXR有効にした状態でもフルHD解像度までなら、映画のような特殊効果を堪能しながらマルチプレイを楽しめる。もちろん、さらなるチューニングへの余力も残されており、競技としてオーバークロックを行っているエンスージアストにとっても魅力的な製品になるはずだ。
税込16万円強から購入できる製品もあるなか、税抜198,000円(税込213,840円)という価格は高く感じるかもしれないが、豪華な装備の数々を考えれば納得できる。現行最高峰のパフォーマンスを求めるなら、「GeForce RTX 2080 Ti LIGHTNING Z」は最良の選択肢になる1枚だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社