エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.718
2019.02.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
サイコムの看板シリーズである「G-Master Hydro」シリーズが初めて編集部にやってきたのは、遡ること実に約6年前のことだった。そのコンセプトは、ズバリ「デュアル水冷のBTO」。CPUとグラフィックスカードの両方を水冷化、空冷とは段違いの冷却性能と静音性が手に入る。自作派にとっても、デュアル水冷はロマンあふれるキーワードだ。
シリーズで初めて編集部にやってきた「G-Master Hydro-GK」。当時はまだデュアル水冷のBTOはほとんど存在せず、掲載された詳細レビューは大きな注目を集めた |
CPUの水冷はオールインワン水冷ユニットが一般にも普及して久しいが、グラフィックスカードをも水冷化しようとなれば、話は変わってくる。DIY水冷は上級者向けであることは否めず、CPU用のオールインワン水冷を流用した改造的アプローチもまた、ハードルは決して低くない。それをユーザーに代わり、自作のプロたちが手がけてくれるのが、サイコムの「G-Master Hydro」シリーズというワケだ。
2基の独立した水冷ユニットでCPUとGPUを冷却、よく冷えてかつ静かというデュアル水冷構成。いまやサイコムのラインナップでも、熱烈なファンを抱える中核シリーズに成長した |
確かにシリーズの立ち上げ当初は、限られたエンスー向けの尖ったモデルだったかもしれない。輸送の困難さも手伝って、当時はデュアル水冷に挑戦しようというメーカー自体がほとんどなかった。
ところが数年間に渡り、確実な信頼性の製品を出荷し続けることで評判を呼び、いまや押しも押されぬサイコムの売れ筋モデルへと成長。昨年末には、なんと生産能力を超える注文が舞い込んだことにより、一定期間の受注を停止しなくてはならなかったほど。
現在ではBTOベンダーやショップBTOにも、デュアル水冷のラインナップが増え、目にする機会も多くなった。しかしそのノウハウをどこよりも蓄積しているパイオニアといえば、サイコムをおいてほかにないだろう。
今回の主役は、「G-Master Hydro」シリーズにおけるスタンダードモデルの「G-Master Hydro Z390 II」だ。このほど待望となるGeForce RTX 2080 Tiの水冷カスタマイズに対応し、Core i9-9900Kを絡めた最強構成でのデュアル水冷マシンがオーダーできるようになった。
ちなみにサイコム担当者によれば、GeForce RTX 2080 Tiの発表時より、水冷モデルの追加について熱心な問い合わせが多数舞い込んでいたという。その内容のほとんどが「発売されるのか」ではなく「いつ発売するのか」だったというから、サイコムのデュアル水冷に対するユーザーの期待度がよく分かる。
サイコム「G-Master Hydro Z390 II」 基本構成価格税込228,640円 製品情報(株式会社サイコム) |
詳細なBTOカスタマイズに対応する「G-Master Hydro Z390 II」だが、まずはその基本構成を確認しておこう。CPUは標準では控えめにCore i5-9600Kが選択され、CPUクーラーにはAsetek「650LS RGB」とENERMAX「UCTB12P」を組み合わせた水冷クーラーが装着されている。
また、グラフィックスカードは標準でGeForce RTX 2070をチョイス。こちらも冷却機構として、Asetek「740GN」とENERMAX「UCTB12」を組み合わせた水冷クーラーが採用されている。なお、水冷クーラーはいずれもサイコムが独自にカスタマイズを行った、メンテナンスフリーのオールインワン水冷だ。
そのほか、マザーボードはIntel Z390搭載のASRock「Z390 Extreme4」、ストレージにはADATAのゲーマー向けNVMe SSD「XPG SX8200 Pro」の512GBを標準採用。PCケースはシリーズ定番のFractal Design「Define R6 TG ブラック」、電源ユニットには80PLUS GOLD認証取得のSilverStone「SST-ST75F-GS V2」が組み込まれている。
なお、編集部に届けられた評価機は、CPUがCore i9-9900K、グラフィックスカードがGeForce RTX 2080 Ti、メモリは「Ballistix Sport LT」シリーズ16GBキットに変更されていた。Intelの現行最強CPUに加えて、新たに水冷カスタマイズに対応したGeForce RTX 2080 Tiを絡めた、最高峰のデュアル水冷ゲーミングマシンが完成。後ほど行うベンチマークセッションが気になる構成だ。