エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.727
2019.03.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
CPUクーラーは何を選ぶべきか。搭載するCPUによっては、空冷でも十分に冷却できるが、水冷も捨てがたい。そんなケースは少なくないだろう。予算との兼ね合いもあるが、ここでは両者の搭載テストを行い、装着感をレポートする。ハイエンド志向の空冷と、ミドルレンジのオールインワン型水冷では売価的にも直接のライバルになり得る。組み込み易さや見映えなど、あらゆる角度からパーツ選びを楽しもう。
まず空冷サイドフロー型CPUクーラーにはbe quiet!「PURE ROCK」(型番:BK009)を用意。120mmファンを搭載し、TDPは150Wまでをサポート。動作音は最大で26.8dBAとされる静音志向の冷却機器だ。
サイドフロー型CPUクーラーを選ぶなら、高さ185mm以下の制限が付く。その点「PURE ROCK」は高さ155mmで、まったく問題はない。同一メーカー品とあって、リア標準140mmファンとデザインが揃い、見映え重視派には最適な選択肢だろう |
次にオールインワン型水冷クーラーにはbe quiet!「SILENT LOOP 120MM」(型番:SL-120mm)を用意した。最もオーソドックスなスタイルで、リア標準装備の140mmファンを取り外し、ラジエターをマウント。空冷環境から水冷環境への組み替え用途にも向く。なお標準で120mmファン2基を搭載させる仕様で、対応TDPは270Wと高い冷却能力が特徴だ。
2本のネジを外すだけでスライドする、トップの冷却ファンブラケットはすこぶる使い勝手がいいが、今回は120mmサイズだけにリア固定を選択 |
パワフルな冷却能力を備えつつコンパクトに収まる点がメリット。周辺空きスペースも十分確保できているため、スッキリとした印象のPCが構築できそうだ |
自分でも意外ながら、これまでbe quiet!のPCケースにここまでじっくりと触れる機会はなかった。自作PC業界ではずいぶんと名の知れたブランドであるにもかかわらず、実機は組み込み完成品止まり。つまり「SILENT BASE 801」がbe quiet!デビューの記念すべき第1号だった。
知識と先入観のbe quiet!であったが、概ね想像通り。ブランドのプライドを感じさせる、細部まで気を抜かない佳作と言えるだろう。売価は決して安価ではないものの、価格なりの説得力があった。
具体的には「正立」「倒立」のレイアウト変更は面白いギミックであるし、ボトムカバーがツールフリーで丸裸になる辺りはよくできている。さらにフロントパネル裏の自ら作るシャドウベイは工作精度の良さを感じ、トップパネルのスライド着脱式ブラケットは扱いにくい重量のあるラジエターが容易に搭載できてしまう。静音志向ながらエアフローも妥協しない、ハイブリッドな設計はイマドキのPCケースで、オールラウンドにユーザーのリクエストに応えてくれる。
剛性の高さも秀逸で、安価なPCケース特有の頼りなさが一切ない。売価については冒頭でも触れたが、お世辞にもお手頃価格とは言えない。ただし資料や画像だけでは伝えきれない部分に、価格なりの説得力を感じる事ができた。さしずめ”長く付き合えるオトナのPCケース”といった所だろうか。
協力:be quiet!
株式会社オウルテック