エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.731
2019.04.05 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後にCPUとモードによる消費電力の違いを確認しておこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の数値を、各種テスト時のスコアは実行中の最高値をそれぞれ採用している。
2990WX、2950XともTDPは同じ250Wに設定されているがアイドル時は約8W、CPUベンチマーク実行時は約80W、グラフィックス系ベンチマーク実行時は約50Wの差が付き、消費電力には明確な違いがある。一方、メモリの動作モードについては2990WX、2950Xとも優位な差は見られず、消費電力への影響は無視して構わないだろう。
昨年の8月にデビューした「第2世代Ryzen Threadripper」。その中でも上位に位置づけられる「Ryzen Threadripper WX」シリーズは、最高32コア/64スレッドというメイニーコア構成により、レンダリングやエンコードなど、マルチスレッド性能が重要になるアプリケーションでは、圧倒的なパフォーマンスを発揮した。一方で、やや変則的な設計によるメモリまわりのボトルネックや、NVIDIAのグラフィックスドライバが問題を抱えていたこともあり、ゲームなどではコア数の少ない「Ryzen Threadripper X」シリーズが優勢で、発売当初はやや扱いにくいCPUという評価を受けていた。
しかし、ドライバの問題はその後のアップデートで解消。そして今回検証した「Dynamic Local Mode」の追加によって、実際のゲーム環境では、「Ryzen Threadripper X」シリーズと変わらないパフォーマンスを発揮できるようになった。特にグラフィックス性能に余裕があるシーンでの効果は大きく、先日発売が開始されたAMD「Radeon VII」など、さらに高性能なグラフィックスカードを使った場合には、その差はより顕著になるはずだ。
CPUに特化した処理では一部スコアが低くなるものの、その影響はごくわずか。また「Dynamic Local Mode」は、再起動なくシームレスにON/OFFの切り替えができるため、大きなデメリットにはならない。発売から半年以上が経過し、着実に最適化が進んだ「Ryzen Threadripper WX」シリーズ。その欠点はほぼ解消されたと言っていいだろう。
協力:日本AMD株式会社