エルミタ的一点突破 Vol.50
2019.04.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
アイドル時は定格から約100rpm増加しているものの、回転数は800rpm台でまだまだ余裕がある。一方、高負荷時は標準回転で約2,000rpm、L.N.Aでも約1,700rpmまで回転数が上昇し、いずれも公称最大値に近い数値。Core i9-9900Kのオーバークロックで安定動作を求めるなら、5.0GHzから5.1GHzあたりが目安になりそうだ。
アイドル時は、若干回転数が上がったものの騒音値は35dBA台で、定格と同じくほぼ無音といって差し支えない。そして高負荷時でもL.N.Aでは、40dBA以下に留まり静音性は良好だ。また標準回転では、今回のテストで唯一40dBAを上回る42.1dBAを計測。確かに定格やL.N.Aよりは風切り音がするものの、うるさいと感じるほどではなく、PCケースに入れて、机の下に置いてしまえば十分抑え込むことができるだろう。
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、ヒートシンクの部位別温度を確認していこう。こちらはファンを標準回転、クロックを定格にした状態で、ストレステスト30分実行後に計測をしている。
ストレステスト30分実行後のポイント別温度計測結果 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | ストレステスト30分実行後のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度は、CPUに最も近い受熱ベース部が35.8℃で最高。そしてCPUから離れるに従って温度が下がり、トップではいずれも23℃台で、2基の120mmファンによってヒートシンクに移動した熱が効率よく冷却できているようだ。
またサーモグラフィの結果をみると、ストレステスト30分実行後はヒートパイプ付近の温度が上昇しており、CPUから発生した熱がヒートパイプを使って拡散していることがわかる。また排気ファン付近の温度が周囲より高く、熱が放出されている様子も確認できた。
久し振りにテストを実施したNoctuaのハイエンドCPUクーラー。空冷にこだわり続け、CPUが進化し続けてもなお、このスタイルを変えない。それは”意固地に水冷に手を出さない”のではなく、”空冷で十分対応できる”という、Noctuaの自信の表れにほかならない。
あえてつまらない事を言うと、売価税抜13,000円前後と言えば、簡易水冷クーラーが十分に購入できる。それでも世界中のエンスージアスト達は、大枚をはたいてNoctuaを購入し続ける。そして不思議と悪い評判は聞こえてこない。決して大げさではなく、こんなメーカーはあまたある自作メーカーの中でもNoctuaくらいだろう。
「NH-U12A」の冷却性能は検証結果が表しているとおり、ここで触れるまでもない。「NH-U12」がデビューしたのは2005年。つまり14年以上も基本設計を変えず、小変更を加えながらCPUの熱をコントロールしてきた。これからどんなCPUが登場しても、空冷で始末してくれるに違いない。
数か月後には「COMPUTEX TAIPEI」が開催される。またNoctuaのプロフェッサーことJakob Dellinger氏の”講義”が聞けるだろう。彼は元気にしているだろうか。
協力:RASCOM Computerdistribution(Noctua)