エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.744
2019.06.11 更新
文:pepe
続いては、応答速度についての機能をチェックしていこう。「VG278QR」は応答速度が最小で0.5msとなっているが、「Trace Free」の設定を変えることで応答速度のオーバードライブが可能となる。OSD設定のデフォルト値は“60”となっており、これが標準的な応答速度の設定のようだ。該当項目では、0~100まで20刻みの5段階から設定できる。
なお、テストではいずれもリフレッシュレートは165Hzに設定し、「Trace Free」の値を0/60/100に設定した際の違いを「Blur Busters UFO Motion Test」で確認する。その際の映像は、先ほど同様にデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影した。
UFOの背景色がグレー部分で変化が分かりやすい。「Trace Free」の値が“0”の動画と“60”の動画を比較すると、“60”の方がわずかに残像の消える効果が高い印象を受ける。また、値を“100”にした場合は残像感こそさほど変化がないものの、UFOの進行方向とは反対側に、本来とは異なる色で残像がはっきり残ってしまった。
ただしグレー部分以外の黒や白背景では目立った残像が見られず、黒や白背景に限っていえば“0”の時よりも残像感が抑えられている。最適な設定数値は、実際にオーバードライブを使用する環境にも左右されるのかもしれない。
最後にスミアやブラーを軽減するとされる、独自機能「ELMB(Extreme Low Motion Blur)」の効果を確認しておこう。バックライトの強制点滅により黒フレームを挿入し、フレーム更新時の残像を低減させる機能だ。リフレッシュレートは165Hzに設定し、先ほど同様に「Blur Busters UFO Motion Test」の映像をデジタルスチルカメラでスローモーション撮影した。
ちなみに「ELMB」を有効にするとモニター全体の輝度が若干下がるが、これはバックライト強制点滅により、バックライトが点灯している時間が短くなるため。肉眼では少し暗くなった程度の印象なところ、スーパースローモーションで撮影した動画では、強制点滅による黒フレーム挿入が確認できる。
実際には残像が残っているが、黒フレームの挿入で暗転した直後は残像が“少なく見える”。「ELMB」はディスプレイ同期「Adaptive-Sync/FreeSync」とは排他利用となるため、同時に使用することができない。そのため、ティアリングが起こっても問題がない環境、またはゲーム以外の用途(例えば動画鑑賞など)に向いているかもしれない。なお「ELMB」は、前述の通りDisplayPort接続によるリフレッシュレート120Hz/144Hz/165Hz環境でのみ使用できる。