エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.747
2019.06.22 更新
文:pepe
続いて応答速度についてチェックしていこう。「MAG271CQR」では「応答“時間”」とOSDメニューに記載され、“通常”“速い”“最も速い”の3段階で設定することができる。なお“最も速い”の設定は、ディスプレイ同期とは排他的扱いのため、グレー表示となり選択することができない。そのため“最も速い”に設定する際は、ディスプレイ同期をOFFにする必要がある。
なお、テストではいずれもリフレッシュレートは144Hzとして、“通常”“速い”“最も速い”に設定した際の違いを「Blur Busters UFO Motion Test」で確認する。その際の映像は、先ほど同様にデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影した。
まず初めに“通常”と“速い”で比較してみよう。2つの動画を編集する際に1フレームずつ確認してみたところ、若干ではあるが“速い”に設定した方が残像が速く消えているような気もするが、現状使用しているスーパースローモーションの撮影環境では、どちらの設定も大きな差はないように見受けられる。
続いて“速い”と“最も速い”を比較した。ディスプレイ同期をOFFにして“最も速い”を選択すると同時に、OSDメニューの「アンチモーションブラー」が連動して有効になる。つまり「応答時間」の設定項目にある“最も速い”=「アンチモーションブラー」というワケだ。「アンチモーションブラー」がONになると液晶全体の輝度が下がるが、これはバックライトの強制点滅により黒フレームを挿入し、フレーム更新時の残像を低減させているためだ。
「アンチモーションブラー」が有効となる“最も速い”では、黒フレームではなく赤フレームが見える。また、赤フレームの後に強いシアン色が表示されているのが確認できる。あらかじめ想定していた結果とは異なっていたが、もちろんこの「アンチモーションブラー」効果は一瞬のため、液晶を肉眼で見ても「輝度が下がった」以外の印象を受ける(“赤っぽい”や“シアンっぽい”など)ことはない。
実際に“最も速い”と設定したことで赤フレームが挿入され、その間の残像は見えなくなっているため、残像感は明らかに低減されている。“最も速い”あらため「アンチモーションブラー」は、ディスプレイ同期「Adaptive-Sync(FreeSync)」とは排他利用となるため、同時に使用することができない。そのため、あえて使用するシチュエーションを想定するとすれば、動画鑑賞のようなゲーム以外の用途に向いているといえる。
WQHD解像度(2,560×1,440ドット)クラスになると、高リフレッシュレートのゲーミング液晶はだいぶ選択肢が限られてくる。しかし27インチサイズでフルHDでは解像度不足を感じるだろうし、昨今のゲーム事情では、もはや24インチでは窮屈さ覚えることも多いだろう。そういったジレンマをうまく解決してくれる、うってつけの存在がまさに「MAG271CQR」だ。27インチサイズでWQHD解像度、さらに144Hzの高リフレッシュレートと1msの高速応答に対応と、見事に欲しい条件を満たしている。
それに加えてMSIがフォーカスしている、1,800Rの緩やかな曲面パネルが重要な要素になっている。クリエイティブ用途など一部タスクには向かないかもしれないが、1,800Rの中心に入り画面に正対すれば、その迫力に一瞬で引き込まれるに違いない。また、眩しさやギラつきがなく高コントラストなメリハリが効いたVA方式のパネルは、ゲームシーンだけでなく動画鑑賞にも強い。
さらに使い勝手の面では、MSI独自のデスクトップアプリ「Gaming OSD」が便利だ。OSD設定が充実しているゲーミング液晶だけに、マウスクリックやキーボードショートカットで設定を瞬時に呼び出せる点は、明確なアドバンテージだ。魅力的な没入感に優れた使い勝手、そして欲しい機能が手頃な価格で手に入る。なかなかに欲張りな条件が揃ったゲーミング液晶だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社