エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.752
2019.07.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ベンチマークテストのラストは消費電力をチェックしておこう。なおテスト方法は前項の冷却テストと同じで、「3DMark」の「Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用した。
省電力機能が有効に働くアイドル時はいずれも横並び。ただし、高負荷時は「Radeon RX 5700」の329Wに対して、「Radeon RX 5700 XT」は387Wまで上がり、その差はTDP(45W)以上の58Wだった。とは言え、今回のテストでは400Wを超えることはなく、ハイエンドCPUを組み合わせた場合でも、600W~700Wクラスの標準的な電源ユニットを用意すれば十分賄うことができる計算だ。
約7年半ぶりに刷新された新アーキテクチャ「RDNA」を採用する「Radeon RX 5700」シリーズ。今回の検証結果を見る限り、AMDの謳い文句通りWQHD解像度までなら重量級のゲームでも最高画質で快適なゲームプレイが可能だ。さらに「ファイナルファンタジーXIV」のような、ハイフレームレートが求められないゲームであれば、4K解像度での運用も十分視野に入ってくる。
またリファレンスクーラーも「Radeon VII」ほどうるさくなく、扱いやすさも向上。内部スペースが限られるミニタワーケースや、拡張スロットが2スロットに制限されるMini-ITXケースで、高性能なゲーミングPCを組むなら、リファレンスの「Radeon RX 5700」シリーズはオススメだ。
一方、ミドルタワーやフルタワーなど内部設計に余裕があるPCケースなら、より静音性や冷却性能に期待ができるオリジナルモデルの登場を待つのも良いだろう。いずれにせよ、これまでRadeon RX Vegaシリーズが担っていたアッパーミドルからハイエンド帯のアップグレードとしては有望な選択肢になる。
ただし、すでにNVIDIAからは対抗となる「GeForce RTX 20 Super」シリーズの投入がアナウンス済み。価格や性能差もそれほどなく、やや厳しい船出になりそうだ。そしてウルトラハイエンド「GeForce RTX 2080 Ti」に匹敵するモデルが未だないのもインパクトに欠ける。同日解禁された第3世代Ryzenシリーズでは、競合を圧倒したAMD。今後グラフィックスカードの方でも、アッと驚く製品の投入に期待したい。
協力:日本AMD株式会社