エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.756
2019.07.23 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは、「AMD Ryzen Master」に実装されている自動オーバークロック機能「Precision Boost Overdrive」を試し、レンダリング性能やゲーミング性能がどのように変わるのかチェックしていこう。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R15」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の3種類を用意した。
「MEG X570 ACE」では、初期設定で「Click BIOS 5」の設定は有効化されているため、「AMD Ryzen Master」から「Precision Boost Overdrive」を選択するだけで利用できる |
「Default」では、マルチスレッド時は3.90GHz(左)、シングルスレッド時は4.25GHz~4.40GHz(右)で推移 |
「Precision Boost Overdrive」を有効にするとマルチスレッド時は最低でも4.00GHz(左)にクロックが上昇。一方、シングルスレッド時は4.25GHz~4.40GHz(右)で大きな変化はなかった |
「Precision Boost Overdrive」を有効にしても、シングルスレッド処理時のクロックに大きな変化はなかった。一方、マルチスレッド処理時のクロックは約100Hz向上。「CINEBENCH R15」のマルチコア性能も3,011cbから3,121cbへと約3%アップした。またゲーミング性能を確認すると「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」では誤差の範囲だが、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」では約2%スコアがアップしており、ゲームによっては確実に効果がある。
続いて消費電力を確認すると、アイドル時は横並び。高負荷時でも20W強の増加に留まり、このクラスのシステムであれば特に気にする必要はない。せっかくハイエンドシステムを使っているのなら、その性能を最大限に引き出すためにも「Precision Boost Overdrive」は有効にしておきたい。
第3世代Ryzenシリーズに合わせてデビューした、MSI「MEG X570 ACE」。最新プロセッサの性能を最大限まで引き出す、大型の冷却機構と15フェーズ電源回路や、5,000MB/secを超える高速ストレージを可能にする「Lightning M.2」、2.5ギガビットLANやWi-Fi 6対応の無線LANなど、充実した機能の数々はハイエンドゲーミングマザーボードらしい仕上がり。
その一方で、カラーリングはブラックやガンメタリックを基調に、ゴールドのワンポイントをあしらった落ち着いた雰囲気。標準装備のLEDイルミネーションもリアインターフェイスカバーに搭載された「Mystic Light Infinity II」のみと、自己主張はかなり控えめ。ハイエンドモデルに多い派手なデザインにやや食傷気味という人にとっては、その落ち着いた外観も大きなアピールポイントになるだろう。
頻繁なアップグレードをせず、一つのプラットフォームを大切に使い続けるAMD。さらに一切妥協のない充実した機能と、飽きのこない万人受けするデザインを兼ね備えた「MEG X570 ACE」は、製品サイクルの早いマザーボードとしては珍しく“長く付き合える相棒”になる1枚だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社