エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.759
2019.07.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
最終セッションではFSP「CMT520」に、各構成パーツを実際に組み込んで見よう。外観デザインがお気に入りなら、多少内部設計に難があっても許容できるだろう。しかし物理的にパーツ同士が干渉したり、マニュアルや内部を眺めただけでは分からない”落とし穴”があるれば、無駄な出費を強いられるリスクがある。
ここでは順を追って構成パーツを組み込みながら、作業における注意点や周辺クリアランス、そのほか気が付いた事を等を詳しく解説しよう。恐らくPCパーツ選定時にも大いに役立つはずだ。
まずはマザーボードを搭載してみよう。「CMT520」の対応フォームファクタはE-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITX。特にE-ATXフォームファクタは305x330mmで、ATX(305x244mm)よりも横幅が86mmも長い。
検証にはGIGABYTE「Z390 AORUS ELITE」を使用。Intel Z390チップ搭載のATXマザーボードだ |
ちなみに近頃では、”制限付きE-ATX対応”のPCケースが増えている。これまでフロントパネル裏手と言えば、シャドウベイ(ユニット)が相場だった。しかし2.5インチSSDの台頭や、大型ラジエターの搭載を優先するあまり、シャドウベイが排除傾向にある。この流れはマザーボードの居住スペースの拡大につながり、おのずとクリアランスの確保が容易になっている。「CMT520」もマザーボードの右手(フロント側)に空きスペースがあるため、マザーボードトレイはE-ATXサイズ準拠というワケだ。
ATXマザーボード搭載後の周辺クリアランスを計測。天板までは約60mm、ボトムカバーまでは約20mm、フロントパネル裏の冷却ファンまでは約155mm。マザーボードの居住性は極めて良好と言えよう |
なおマザーボードの固定は、付属の「座付きねじ(M3x5)」を使用。スタンドオフは9本が予め装着済みで、搭載テストには右端縦列3本を追加で固定した。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーの有効高と、CPUクーラーメンテナンスホールをチェックしよう。CPUクーラーは公称で高さ163mmまで。幅215mmと比較的スリムな筐体だけに、やや控え目な印象を持つだろう。とは言え、高さ160mm前後の高冷却CPUクーラーの選択肢は多く、簡易水冷をチョイスする人も多いだろう。無茶をしなければ、特に気になる数値ではないはずだ。
疑い深く計測したところ、ほぼ公称値と同じ数値だった | CPUクーラーメンテナンスホールは、実測で幅185mm、高さ140mmだった |
ここでオールインワン型水冷ユニットを搭載してみよう。ラジエターの搭載スペースは計2箇所で、フロントとトップに最大360mmサイズがマウントできる。とはいえ、「CMT520」にはフロント部にRGB LED 120mmファンが3基搭載されているため、多くの人がトップ面にラジエターを設置することを選ぶだろう。検証では120mmファン2基を搭載した240mmサイズラジエター仕様のオールインワン型水冷ユニット、NZXT「KRAKEN X52」を用意した。
内部の空きスペースが比較的広く確保できている分、ラジエターの設置やウォーターヘッドの固定は難なく作業ができた。搭載に関しての注意事項もなく、誰でもスムーズに作業を進めることができるだろう。