エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.768
2019.08.22 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ひと通りのチェックを終えたところで、実際に組み込み作業を開始する。「A1」検証から自身2度目の組み込み実践だが、前回の経験を生かしつつ、進化した「A1 PLUS」をより詳しく解説しよう。
まずは170x170mm四方のMini-ITX規格マザーボードを取り付ける。固定用スタンドオフ計4本は予めトレイ部に装着済み。右側縦の2本は段差を設け、マザーボードのポジションが固定できるようになっている。
作業における注意点と言えば、奥行き140mmの電源ユニットが奥行きの半分ほどを占有しているため、マザーボードの居住スペースは基板サイズのギリギリといったところ。特にWi-Fiアンテナ端子が突き出たマザーボードの場合、バックパネルに対し基板を斜めに挿入する必要がある。あちこちにぶつけないよう、慎重に作業したい。
マザーボードの搭載スペースは筐体奥行きの半分程度。左上の角部にはドライバーを挿し込む穴が確認できる。小型筐体ならではの工夫が見てとれる |
「A1 PLUS」のボディサイズを実感するのは、CPUクーラー選びだろう。ちなみにCPUクーラーの有効高は160mmまで。数値上、中型以上の空冷CPUクーラーも選択肢に入るワケだが、マザーボードの周辺クリアランスが極端に狭いため、作業スペースの確保がポイントになってくる。
検証にはLGA1151対応のGIGABYTE「Z390 I AORUS PRO WIFI」を使用。これに最もオーソドックスなプッシュピン固定タイプの中型サイズのサイドフロー型CPUクーラーを用意したところ、左上のピンがヒートシンクの影に隠れて固定ができなかった。
比較的高さが低いCPUクーラーであれば、マザーボードを外した状態で固定する事ができる。しかし背が高いCPUクーラーの場合、マザーボードを斜めにした状態で挿入するため、CPUクーラーがシャーシにぶつかってしまう事があるのだ。
バックプレートを使ったCPUクーラーの固定状態 |
またバックプレートを使ったCPUクーラーの場合、CPUクーラーメンテナンスホールに該当するCPUソケット背面の開口部が狭いため、マザーボードを装着した状態では多くの製品で固定ができない。さらにマザーボードを外したところで、挿入時はシャーシにぶつかってしまう。
これらを回避するには、電源ユニットを一旦取り外すしかない。傾けない状態でマザーボードが固定できれば、シャーシへの干渉は起こらない。「A1 PLUS」に限らず、Cube型ミニ筐体では起こりえる事で、ある程度のスキルは必要になる事を覚えておこう。
最終的に選択したのは、120mmサイズラジエター仕様のオールインワン型水冷ユニット。バックプレートを使うため一旦マザーボードは取り外したが、ポンプ一体型ウォーターブロックの高さが低いため、内部で干渉を起こす心配がない |
検証にはCooler Master「MasterLiquid ML120L RGB」(型番:MLW-D12M-A20PC-R1)を使用。ラジエター固定用ファンは、「A1 PLUS」標準の「Sirius Loop ASL120」に換装している |
2.5インチ専用トレイ2つを外すと、CPUクーラーメンテナンスホール(らしきもの)があらわになる。ただし開口部が狭く、多くのバックプレートでは上部が完全露出しない。ここは要改善ポイントと言えるだろう |