エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.769
2019.08.25 更新
文:pepe
ここからは負荷テストにおけるCPUとGPUの温度をチェックしていこう。ストレステストは実際のゲームを想定した「3DMark Fire Strike Stress Test」を実施。20回のループ、時間にして約10分程度のログを取得。アイドル時は起動直後約5分放置した数値を採用した。なお温度の計測には「HWiNFO」を使用、計測時の室温は25℃だった。
AMD Ryzen 9 3900XのTDP値は105W、GeForce RTX 2080 SUPERのTDP値は250Wであるのに対して、CPU最高温度76℃、GPU最高温度を70℃に抑え込む驚異の冷却性能を発揮している。サイコム独自のデュアル水冷と、ラジエターの熱をケース外部に吐き出す排気レイアウトにより、連続した高負荷時においてもシステム全体の温度が上昇するのを防ぐ効果だ。
続いて筐体周辺の騒音値をチェックしていこう。テスト条件は先ほどの「ベンチマークテスト:CPU/GPU温度」実施中に、ケーストップ、ケースフロント、右側面、左側面から30cm離れた場所にデジタルサウンドメーターを設置し、テスト中の最大値を記録した。
アイドル時のノイズはいわゆる高エアフロータイプのマシンと近い結果となったが、驚くべきは、10分間の連続した高負荷を掛け続ける「3DMark Fire Strike Stress Test」実施中のノイズである。先ほどの「ベンチマークテスト:CPU/GPU温度」でも分かるようにCPUとGPUが十分に冷却されていることは分かったが、その際もケーストップの47.7dBAを最大として、アイドル時からのノイズ上昇はごくわずかな結果となった。
サイコムのデュアル水冷では鉄板採用されている静音ファン、EnermaxのT.B.Silenceシリーズ「UCTB12P」や、PCケースとして採用されている「Define R6」のフロントドアによる遮音、高密度の工業用防音素材による静音化の相乗効果だろう。
ベンチマークテストのラストは消費電力をチェックしていこう。先ほど同様に高負荷時は「3DMark Fire Strike Stress Test」実施中の消費電力を、アイドル時は起動直後約5分放置した数値を採用している。
アイドル時の消費電力が68Wと高めだが、第3世代Ryzen全体に言える仕様のようだ。「3DMark Fire Strike Stress Test」実施中の最大消費電力は386Wで、80PLUS GOLD認証の750W電源ユニットを搭載する「G-Master Hydro X570A」であれば、最高効率での動作が期待できる。なお、TDP値65WのRyzen 7 3700X、TDP値215WのGeForce RTX 2070 SUPER等の標準構成をチョイスする場合は、650Wクラスの電源ユニットを選択しても問題ないだろう。
いわゆるデュアル水冷のBTOは国内にいくつか存在する。また、一体型の簡易水冷CPUクーラーと、パーツメーカーが自社で開発している簡易水冷を搭載したオリジナルのグラフィックスカードを組み合わせれば、ユーザー自身でデュアル水冷マシンを作ることも可能だ。
しかしこれらとサイコムのデュアル水冷BTOが決定的に異なる点は、豊富なパーツから選択できる自由度の高さと、一般的なパーツメーカーの簡易水冷に頼らない独自カスタマイズによる製品化のスピード感だろう。今回レビューした「G-Master Hydro X570A」には、今最も市場で人気のあるCPU、AMD第3世代Ryzenと、さらに先日発売されたばかりのNVIDIA GeForce RTX SUPERシリーズを選択することができ、なおかつデュアル水冷化されているという驚異的な仕事の早さに驚く。
GeForce RTX SUPERは、既存のGeForce RTX 20×0 TiシリーズとTi無しの無印版の間に位置するモデルだ。やはりグラフィックスカードも最高峰でないと満足できないというユーザー向けに、サイコムのBTOカスタマイズには「GeForce RTX2080Ti 11GB」がちゃっかり選択できるようになっている。仮に構成変更したとしても「GeForce RTX2080Ti 11GB」も水冷化され、「G-Master Hydro X570A」のデュアル水冷構成は揺るがない。
また、新たな試みとしてテストを実施した、Adobe Photoshop CC、Premiere Pro CC、After Effects CCなどにおいては、第3世代Ryzenの性能や有用性を改めて評価することができた。いわゆるクリエイターやプロフェッショナル向けのソフトの処理において、コア数だけのハッタリではない快適なワークフローを実現するためのCPU選択と言える。
サイコムと言えば「Silent-Master」シリーズが持つ「究極の静音性」を追求したBTOも有名だ。シリーズは異なるが、基本構成やカスタマイズのラインアップはそれらのフィードバックをもとにチョイスされているため、いわゆる「ハイエンドゲーミングマシン」だから高負荷時のノイズ増加は仕方がないと妥協せず、マシン性能、冷却、ノイズのバランスをしっかりとったBTOに仕上がっている点が素晴らしい。昔はバリバリの自作派だったユーザーが、サイコムBTOを選ぶ理由がここにある。
協力:株式会社サイコム