エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.770
2019.08.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは「インタラクティブUEFI」からCPUコアクロックと、コア電圧のみを調整するライトなオーバークロックを試してみよう。なおベンチマークテストは「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の4種類で、すべてのテストが完走できるコアクロックと電圧の組み合わせを探ってみることにした。
今回は、CPUコアクロック(Frequency)4.35GHz(設置値は4,350MHz)、コア電圧(Voltage)1.350Vの設定で、全てのベンチマークが問題なく動作した |
シングルスレッド、マルチスレッドに関係なく、全コア4.35GHzで動作。ベンチマーク中にクロックが低下することもなかった |
今回の検証では、CPUコアクロック4.35GHz、コア電圧1.350Vの設定で、すべてのベンチマークを完走することができた。またベンチマークのスコアを確認すると「CINEBENCH R15/R20」のマルチコアテストは、いずれも約8%スコアがアップし、ほぼクロック通りの結果。ただし、シングルコアテストについては「CINEBENCH R15」では1%未満の差でほぼ同等、「CINEBENCH R20」では2%だが定格が上回った。これは、定格でも自動オーバークロック機能によって、シングルスレッド処理時は4.30~4.40GHzまでクロックが上がるためだと思われる。
続いて3D系のベンチマークを確認すると、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」ともその差は1%未満。この結果からシングルスレッド処理が重要なゲームなどをやる場合は、定格のまま。レンダリングや動画エンコードなど、マルチスレッドに最適化した処理を行う場合はチューニングをするなど、使い分けるのが良さそうだ。
最後に消費電力を確認していこう。第3世代Ryzenシリーズでは、定格時でも自動オーバークロック機能によって、コア電圧とクロックが引き上げられる“カツ入れ”状態になるため、消費電力の差は最大でも4.1Wと微増にとどまる。さらにBIOSのVersion 1.70からは、省電力機能を改善した最新ファームウェア「AGESA Combo-AM4 1.0.0.3 ABB」に対応したことで、アイドル時もハイエンドながら60W前後と、かなり低く抑えられている。
「Steel Legend」シリーズが、もともとミドルレンジ帯を担う製品ということもあり、マルチギガビットLANやWi-Fi 6無線LAN機能が省略されるなど、ハイエンドモデルと比較すると機能面での違いは確かにある。さらに電源回路もフェーズ数だけを見れば10フェーズと、AMD X570チップセットモデルの中では決して多い方ではない。
しかし、MOSFETやコンデンサ、チョークコイルなど、安定性や耐久性に影響のあるパーツについては、ハイエンドモデルと同等の高品質なものを採用。そして電源回路の冷却にもこだわることで、メインストリーム向けでは最高峰となる第3世代Ryzenシリーズの性能を最大限に引き出す事ができるように設計されていた。
さらに、最新PCI-Express4.0 SSDの発熱を完全に抑えこむ大型M.2ヒートシンク「Full Coverage M.2 Heatsink」や、信頼性・安定性に定評のあるIntelチップによるギガビットLANなど、多くのユーザーが求める機能については一切妥協はない。
チップセットが変わっても「Steel Legend」のコンセプトを貫くASRock「X570 Steel Legend」は、定格もしくは常用レベルのチューニングで、安定動作を最重要に考えるユーザーにこそオススメしたいマザーボードだ。
協力:ASRock Incorporation