エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.774
2019.09.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
当初は一般的なタワー型PCケースでの運用を想定して、ベンチマーク台を縦置きにして計測を試みたが、クーラーの重量があり安定しなかった。そこで今回は安全性を重視して横置きの状態で検証を行った |
ここからは「ASSASSIN III」をPCに組み込み、冷却性能をチェックしていこう。検証用のCPUは、第3世代RyzenのハイエンドモデルRyzen 9 3900Xで、比較対象としてリテールクーラー「Wraith Prism with RGB LED」でも計測を実施。また手動オーバークロックによって全コア4.35GHz/コア電圧1.350Vに設定した状態でも検証を行っている。なおCPUの温度計測やファンの回転数計測には「HWiNFO v6.10」を、ファンコントロール機能はいずれも標準設定で、アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値、高負荷時は「OCCT 5.3.1/CPU:OCCT」を30分動作させた時点の数値をそれぞれ採用している。
ファンの回転数やCPU温度の取得には「HWiNFO64」を使用 |
定格動作時の「CPU-Z 1.89.1」の結果。リファレンスクーラー搭載時、マルチコア処理では4.025GHz~4.05GHzで動作する | 「X570 Taichi」の手動オーバークロックによって、コアクロックを4.35GHz、コア電圧を1.350Vにオーバークロックした状態でも計測を実施 |
定格動作のアイドル時は省電力機能が働くため、「Wraith Prism with RGB LED」「ASSASSIN III」とも40℃前半で完全に冷却性能が飽和。一方、高負荷時は「Wraith Prism with RGB LED」が84.2℃まで上昇するのに対して、「ASSASSIN III」は70.9℃で、約13℃も温度が低下した。これに伴い、自動オーバークロックの効果も上がり、動作クロックはおおむね4.10GHzで推移するようになった。
「ASSASSIN III」使用時は、冷却性能に余裕が出たことで、マルチスレッド処理のクロックが4.10GHzへとアップした |
続いてオーバークロック時の温度を確認すると、「Wraith Prism with RGB LED」では90.4℃まで上がり、正直常用するのはためらわれるレベル。しかし「ASSASSIN III」は定格から+1.4℃の72.5℃で収まり、十分常用ができる。またCPUの耐性さえ十分なら、さらなるオーバークロックも狙えそうだ。
さて定格、オーバークロックとも余力を残している「ASSASSIN III」。そこで「Low-Speed Adapter」(以降LSP)を使い、ファンの回転数を落とした状態でも計測を行ってみることにした。
高負荷時の温度は、定格で+2.2℃の73.1℃、オーバークロック時でも+3.9℃の76.4℃までしか上がらなかった。「ASSASSIN III」を使えば、静音仕様の状態でも現行最高峰の性能を備えるRyzen 9 3900Xの発熱を完全に押さえ込むことができる。