エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.774
2019.09.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
冷却性能が飽和しているアイドル時は、標準で約640rpm、LSP使用時は約400rpmまで回転数が低下する。また高負荷時でも標準では約80%となる1,100rpm前後で推移し、冷却性能にはまた余力がある状態。ただし、LSP使用時は約95%となる950rpm前後で、これ以上のチューニングをするならLSPは外したほうが良さそうだ。
アイドル時は、いずれも暗騒音から+1dBA以内に収まる優秀な結果。正直チップセットファンのほうが耳障りで、測定時は敢えて回転を止めている。また高負荷時のノイズはLSP使用時が約38dBA、標準でも約42dBA。最高3,700rpm近くまで回転数が上がるリファレンスクーラー「Wraith Prism with RGB LED」との差は歴然で、冷却性能だけでなく静音面での効果も非常に高い。
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、ヒートシンクの部位別温度を確認していこう。こちらはファンを標準回転、動作クロックを定格にした状態で、ストレステスト30分実行後に計測をしている。
ストレステスト30分実行後のポイント別温度 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | ストレステスト30分実行後のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度は、CPUに最も近い受熱ベース部が37.3℃で最高値を記録。そしてCPUのある受熱ベースから離れるに従って温度が下がっていく順当な結果。なお拡張スロット側の側面温度が高いのは、そのすぐ脇にグラフィックスカードが搭載されているため、熱がこもっているのが原因だと思われる。
またサーモグラフィの結果をみると、アイドル時でもヒートパイプ部分がうっすらと温度が高くなっているのが分かる。そして高負荷時にはより顕著になり、CPUから発生した熱がヒートパイプを使って効率よくヒートシンクへ拡散できているようだ。
今回はDeepcoolの新作サイドフローCPUクーラー「ASSASSIN III」にスポットをあて検証を行ってきた。ツインタワーデザインの大型ヒートシンクと、140mmの大口径ファンによる冷却性能は素晴らしく、現行最高峰のパフォーマンスを誇るRyzen 9 3900Xの発熱を完全に押さえ込むことに成功している。さらに定格動作による検証では、CPUの温度が下がったことで、自動オーバークロック機能の効果を高めることもできた。
そしてCPUクーラーを選ぶ上で、冷却性能と並ぶ重要な要素である静音性も秀逸。特に「Low-Speed Adapter」を使えば、冷却性能を大きく損なうことなく、超静音動作が可能だ。
160mmを超える高さや、メモリスロットを完全に覆ってしまう体躯など、やや扱いづらい面はある。さらに240mmラジエターのオールインワン水冷ユニットにも手が届く、税込10,000円を超える価格は決して万人受けする製品ではない。しかし、冷却性能と静音性については間違いなく一級品。ハイエンドPCの発熱や騒音に悩まされているなら導入する価値のあるアイテムだ。
協力:協力:株式会社アスク
Deepcool Industries Co., Ltd.