エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.775
2019.09.18 更新
文:松野 将太
第3世代Ryzenは、エルミタージュ秋葉原では「Ryzen 9 3900X」を使った検証をすでにお届けしているが、ここでは2つのCPUとB450チップセット採用マザーボード「B450M Steel Legend」を使って、実際に性能差が出るかどうかを検証してみたい。
検証用マザーボードは「B450M Steel Legend」。ただし、メインセッションとまったく同じ構成ではうまく起動しなかったため、メモリをDDR4-3200(8GB×2)のキットに変更して検証している |
なお、「B450M Steel Legend」ではPCI-Express4.0を正式サポートしないため、対応SSDを装着してもPCI-Express3.0での動作となる。画像左がPCI-Express3.0動作時、画像右がPCI-Express4.0動作時の転送速度だ |
まずは「CINEBENCH R15/R20」のスコアから確認していく。
結果は見ての通りで、若干スコアが落ちているものの、無視できるレベルの差だ。「Ryzen 7 3900X」を使った検証でもわずかにスコアが落ちていたので影響があるのは確かだが、気にするほどでもない、という程度のものだろう。
「CINEBENCH R20」では「CINEBENCH R15」よりも評価のレンジが広いため、スコア差は若干大きく出るが、これも許容範囲だろう。
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」ベンチマークでも試してみよう。計測条件はメインセッションと同じで、1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類の解像度で計測を実施した。
B450の方が若干高めのスコアを出しているが、これはメモリを変えたことに合わせ、いくつかの設定を変更した影響だと思われる。少なくとも、劇的に性能が落ちるということはないのが分かるだろう。
最後に「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」での結果も確認してみよう。計測条件はメインセッションと同じだ。
こちらもそれぞれのフレームレートは誤差程度に留まり、有意な差は確認できない。PCI-Express4.0 SSDの動作を除き、性能面に関しても大きな問題は出ないと言っていいだろう。
B450環境での消費電力とCPU温度は以下の通り。
どちらもアイドル時の消費電力が10Wほど低下し、高負荷時の消費電力は、特に「Ryzen 7 3800X」で20Wほどの低下がみられる。X570チップセット搭載マザーボードは多機能なこともあり、比較的シンプルなB450チップセット搭載マザーボードと比べた場合に消費電力で差がつくようだ。
CPU温度に関しては、高負荷時には若干低い結果が出ているが、有意な差とは言えないだろう。
ここまでの検証をまとめると、「Ryzen 7 3700X」は4万円台で高性能なCPUを手に入れたいユーザーや、細かい調整などを行わないユーザー向け、「Ryzen 7 3800X」はオーバークロックでより高い性能を目指す中級者・上級者向けのCPUと言えるだろう。現時点では価格差が7,000円前後あるため、「Ryzn 7 3700X」の魅力が大きいが、今後の市場の推移次第では「Ryzen 7 3800X」がより輝く可能性も十分にありえる。
マザーボードに関しては、 なるべくコストを抑えたい場合はB450チップセット搭載製品も選択肢に入ってくる。PCI-Express4.0対応SSDを体験したい、あるいはコンテンツ制作などに高速なストレージが必要なら、X570チップセット搭載製品を選ぶといいだろう。X570マザーは各社とも力を入れて作っているだけあり、非常によくできた製品が多いので、個人的にもおすすめしたい。
いずれにせよ、競合Intelに比肩するゲーミング性能と、それを上回るクリエイティブ性能、コストパフォーマンスを実現した第3世代のRyzen 7は、現在の自作PC市場で極めて魅力的なチョイスであることに変わりはないだろう。検証で確認できた通り、旧世代のマザーボードを使ってPCをアップグレードするのも悪くない選択肢なので、新規にPCを購入するユーザー、前世代のRyzenを購入したが性能に不足を感じているユーザーなど、幅広い層におすすめできるCPUと言える。
協力:日本AMD株式会社