エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.776
2019.09.21 更新
文:松野 将太
さっそく、3Dレンダリング系の定番ベンチマークソフト「CINEBENCH R15/R20」を使い、CPUの純粋な性能をチェックしていこう。
CPUの性能差は、グラフを見れば一目瞭然だ。「Ryzen 7 2700U」のスコアはマルチコアテストで636cbと、ノートPC向けとして優秀なスコアを記録しているのに対し、「Core i5-5200U」は249cbと振るわない。Ryzen 7はハイエンド向け、Core i5はミドルクラスというターゲットの違いはあるものの、それでも世代間の性能差が浮き彫りになっていると言っていいだろう。第8世代以降のノートPC向けCore i5はデスクトップ向けCPUにならってコアを増やしはじめたが、「Core i5-5200U」は、当時としては当たり前だった2コア/4スレッドのCPUだ。この結果もやむを得ないと言える。
メニーコアを想定した「CINEBENCH R20」でもスコアの傾向は変わらず、マルチコアテストでは2倍以上の差がついている。ちなみに、2015年当時の「Core i5-5200U」搭載PCはスタンダードノートPCでも8万円台が当たり前で、10万円を大きく超えるようなモデルも存在していた。「Ryzen 7 2700U」搭載で6万円台前半を実現した「IdeaPad 330」のコストパフォーマンスは、その頃と比べればより際立つものがある。
続いて、3D描画性能を確認できる定番ベンチマークソフト「3DMark v2.9.6631」の結果を確認していく。オンボードグラフィックスの検証ということで、テストに使用するのは「Sky Diver」および「Night Raid」だ。
まずは「Sky Diver」の結果だが、グラフィックスの性能差が顕著に現れ、総合スコアで3倍以上の差がつく形となった。それぞれのスコアを見ていくと、「IdeaPad 330」はPhysics scoreでは比較機の約220%、Graphics scoreでは約340%のスコアを発揮。グラフィックス機能に関しては、やはりRyzen Mobileが有利と言える。
「Night Raid」テストではCPUスコアがかなり縮まっているものの、依然としてグラフィックスによる格差が大きく、総合スコアに約2.6倍の差が生まれている。
実際のゲームに即したベンチマークソフトでのチェックを実施してみよう。人気のMMO RPGの最新アップデート版「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテストでは、描画品質を“最高品質”“高品質”“標準品質”の3種類に設定。解像度は機種ごとの最高解像度(「IdeaPad 330」は1,920×1,080ドット、比較機は1,366×768ドット)のほか、1,280×720ドット、1,024×768ドットの3種類で計測を実施した。
このベンチマークはスコアとは別に快適さを表す指標を表示してくれるが、「IdeaPad 330」はフルHD・最高設定の結果こそ「設定変更を推奨」とやや低めの判定を受けたものの、標準品質では「やや快適」判定を受けており、十分にゲームをプレイできるレベルであることが分かる。より解像度を下げれば、「とても快適」判定を出すことも可能で、ビジネスノートPCでこれだけの結果を出せるのは、「Radeon RX Vega 10 Graphics」の性能のたまものだろう。
反面、比較機ではすべての計測で、「動作困難」「設定変更が必要」「設定変更を推奨」以上の判定を出すことができなかった。さすがにいかんともしがたい差があるので、4年以上前のノートPCを使っていて動作に不満があるのであれば、買い替えを推奨したいところだ。