エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.781
2019.10.04 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
512GBモデル2台、256GBモデル2台というやや変則的な環境だが、RAID環境の構築を試してみることにした |
「CSSD-S6M512CG3VZ」で税込6,000円前後、「CSSD-S6M256CG3VZ」なら税込3,600円前後で購入できる「CG3VZ」シリーズなら、複数台購入してRAIDを構築するのもかなり現実的な選択肢になる。そこで、今回は各2台ずつというやや変則的な構成ながら、計4台の「CG3VZ」シリーズと、Intel Z390チップセットの機能を使い、RAID環境を構築してみることにした。RAIDレベルはパフォーマンスを重視したRAID 0(2台/3台/4台)と、信頼性と容量を両立できるRAID 5(4台)の4パターンで、ベンチマークテストには「CrystalDiskMark 6.0.2」のデータサイズ1GiBを使用した。
容量やスピードが異なるストレージでは、低容量・低速なモデルがボトルネックになるもののRAID自体の構築は可能だ |
Intel Z390チップセットの標準機能「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー」を使えば、RAID 0/1/5/10の構築が可能 |
RAID 0:2台 | RAID 0:3台 |
RAID 0:4台 | RAID 5:4台 |
まずRAID 0のスコアを確認すると、使用するSSD台数に合わせてシーケンシャルアクセスは順調に向上し、4台ではNVMe SSDのミドルレンジモデルに匹敵する読込1,949MB/sec、書込1,833MB/secを記録。ランダムアクセスも読込・書込とも700MB/sec(約140,000IOPS)を超え、SATA3.0(6Gbps)とは一線を画す性能を発揮する。
またRAID 5では、冗長化のパリティ処理が必要になるため、書込は低調なものの、読込はシーケンシャルが955MB/sec、ランダムが715MB/sec(約174,000IOPS)までスコアが向上した。
1台で高速な環境を構築できるNVMe M.2 SSDに比べると、「配線が煩雑になる」「ドライブベイが余分に必要になる」「OSをインストールする場合はドライバの読込が必要になる」といった欠点はあるものの、性能重視・冗長化重視など、ユーザーが運用に合わせた構成を選択できるRAID環境は大きな魅力だ。
シーケンシャルアクセスは、公称値通り読込・書込ともSATA3.0(6Gbps)の限界に迫る転送速度を発揮した「CG3VZ」シリーズ。ランダムアクセスについては、やや癖があるものの、「デフォルト(ランダム)」ではおおむね公称値通り、「All 0×00 (0Fill)」ならハイエンドモデルに比肩し、極端に大きいサイズのファイルを扱わなければ、パフォーマンス面で不満を感じることはないだろう。さらに256GBと512GBモデルで性能差がほとんどないのも、RAIDを前提として複数台購入する際には大きなメリットになる。
また耐久性・信頼性については、より長期的な運用が必要になるため断言はできないが、少なくとも公称値については総書込量、MTBFともエントリーモデルとしては現行最高クラス。さらに3年間の保証もついていることから、常に大量のデータを書き込むような用途でなければ大丈夫だろう。
PCI-Express4.0(x4)モデルが登場したこともあり、最近のSSDはNVMeモデルにばかり注目が集まっている。しかし、その影でSATA3.0(6Gbps)のエントリーモデルも着実に進化していることを感じさせてくれる製品だった。
協力:CFD販売株式会社