エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.783
2019.10.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ここからは、実際のゲームシーンにおける電源ユニットの挙動を確かめていこう。まずはMMORPGの人気タイトルである「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」のベンチマークを実行。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度3,840×2,160ドットの環境にて、30分間ループで動作させている。
消費電力は最大362Wと、ほどよい負荷がかかっている状態。高負荷時のグラフ波形を確認してみると、ほぼ最大値の12.192Vに張り付くド安定の出力を見せてくれた。セッションの切れ目などに一瞬落ち込みはあるものの、それでも最小値はこれまで同様に12.000Vと定格の範囲内をカバー。ゲームのように断続的に不規則な負荷がかかる場合でも、極めて安定したシステムの動作が期待できる。
最後は実際にゲームをプレイして挙動を確かめるべく、重量級タイトルの「Battlefield V」を起動。描画品質は“最高”で解像度は3,840×2,160ドットに設定、さらにリアルタイムレイトレーシング機能の「DXR(DirectX Raytracing)」を有効化し、可能な限り高い負荷をかけてみることにした。なお、プレイにはシングルプレイヤーモード「大戦の書」の「最後の虎」をチョイス、これまでのテスト同様に30分間動作させた状態で挙動を確認する。
最大消費電力は351W程度ながら、「DXR」の有効化によりグラフィックス面での負荷はかなり大きい。しかしその最中の挙動といえば、ほぼ最大数値の12.192Vに張り付く安定したもので、出力のブレがほとんどない。最大平均値の差はわずか0.068Vであり、いかに最大値の状態を長く維持できているかが分かる。突発的に負荷が変動することも多いゲームプレイ時だが、その最中もシステムの安定動作が約束されているメリットは非常に大きい。
日本では長くOEM供給がメインだっということもあり、豊富な実績を持ちながらも、不思議と市場におけるFSP製品の存在感は大きくはない。しかし80PLUS認証モデルの製造数で世界一を誇ることからも分かるように、自作PC向けの電源ユニットを作ることに関して、FSPは最も手なれたメーカーのひとつ。店頭でも「ウソをつかない電源ユニット」としての評価は根強く、その品質と完成度は折り紙つきだ。
実際の挙動に関しても、ブレがなく一貫性のある安定した動作は、各種負荷テストにて証明済み。ミドルクラスに位置する80PLUS GOLD認証製品にあって、トップクラスの信頼性をもつ電源ユニットと言える。
いまや電源ユニット自身が光り輝くようになった自作シーンにおいては、やや地味に見えるかもしれない。しかし抜群の安定性に加え、シリーズのトピックでもある静粛な冷却機構は、まさに電源ユニットとしての本分を追求したもの。この“いぶし銀”な実力を求めるユーザーは少なくないハズだ。
協力:FSP GROUP Inc.
株式会社オウルテック