エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.786
2019.10.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
まず定格動作時の温度を確認すると、アイドル時はいずれも省電力機能が有効になるため37℃前後でほぼ横並び。一方、高負荷時は「Wraith Prism with RGB LED」が80℃台前半まで上昇するのに対し、「MasterLiquid ML240P Mirage」は70℃前半で推移。突発的に温度が上がるスパイク値も78.4℃が最高で、冷却性能には大きな開きがある。さらに自動オーバークロック機能の効果も高まり、マルチスレッド処理時のコアクロックは4.10GHz前後で推移するようになった。
マルチスレッド時のクロックは「Wraith Prism with RGB LED」の4.05GHzから4.10GHzに上昇した |
またオーバークロック時は、「Wraith Prism with RGB LED」の最高温度は105℃、平均でもCPUの公称上限温度となる95℃前後で、正直常用は難しい。しかし「MasterLiquid ML240P Mirage」なら、ストレステスト中でも概ね78℃前後で推移。スパイク値も88.7℃で頭打ちとなり、CPUの耐性さえ十分ならオーバークロックでの常用も全く問題ない。
続いてファンの回転数を確認すると、アイドル時は定格動作、オーバークロック時とも約60%の1,250rpm前後で推移し、冷却性能には余力が残されている。また高負荷時は、定格動作が約90%となる1,800rpm前後、オーバークロック時はほぼフル回転となる1,950rpm前後まで回転数が上昇。今回のような常用クラスなら問題ないが、極端に電圧を盛ったオーバークロックは控えたほうが良さそうだ。
最後に騒音値を確認すると、アイドル時はいずれも37dBA前後だが、これはVGAクーラーやチップセットファンのノイズを拾っているため、実際の数値はさらに低い。またほぼ最高回転に近い高負荷時でも40dBAを超えることはなく、「MasterLiquid ML240P Mirage」に実装されている120mmファンの静音性は非常に優秀だ。
冷却機器を得意とするCooler Masterから登場した、新型オールインワン水冷ユニット「MasterLiquid ML240P Mirage」。メインストリーム向け最高峰となる12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xによるテストでは、定格駆動はもちろん、「Wraith Prism with RGB LED」では処理することが難しい、全コア4.375GHzにオーバークロックした状態でも十分なパフォーマンスを見せてくれた。
また専用に設計されたスクエア形状120mm口径ファンの静音性はさすがの一言。92mm口径ファンを高速回転させる力技によって冷却性能を確保している「Wraith Prism with RGB LED」との差は実に20dBA以上もあり、リテールクーラーのノイズに悩まされているなら換装を強くオススメする。
そしてオールインワン水冷では画一的になりがちなデザインも、実用性を兼ね備えた「ミラージュポンプデザイン」によってしっかりと差別化が図られている「MasterLiquid ML240P Mirage」は、冷却機器としての実力はもちろん、ドレスアップパーツとしても大いに魅力のある製品だ。
協力:Cooler Master Technology