エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.789
2019.10.23 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ここからは、ベンチマーク中における「GP65-9SE-067JP」の挙動を別な側面からチェックしていこう。製品の魅力でもある強力な冷却システムは、高負荷がかかった際にどのような働きを示してくれるだろうか。検証は起動後10分間何もせず放置した際をアイドル時、DirectX 12対応の4K負荷テスト「Time Spy Extreme Stress Test」を合計で約30分間動作させた際を高負荷時として、「HWmonitor」による計測を行った。
アイドル時はいずれも60℃未満に抑えられており、まったく問題はない。そして高負荷時の場合は、CPUは80℃を超えてくるものの、GPUは70℃台前半と余裕がある。いずれもこのレベルの温度に抑え込めていれば、性能低下に繋がる心配はない。ただしその分底面の冷却ファンはそれなりの騒音になるため、ある程度の割り切りが必要になるだろう。
最後は「GP65-9SE-067JP」の消費電力を振り返り、テストセッションを締めくくろう。起動後10分間何もせず放置した際をアイドル時として、それぞれのテストの際の最高値と合わせてワットチェッカーで計測。見比べてみることにしよう。
さすがノートPCとあって、アイドル時の消費電力は22Wと低い。ただし高負荷時になると、定格容量である180Wを上回るシーンが出てくるなど、ACアダプタの実力をフルに使い切っている印象だ。ただしACアダプタ自体は危険な熱さになることもなく、システムも終始安定。しっかりと本体が要求する出力を供給できているようだ。
とかく派手なモデルが注目を集めやすいゲーミングノートにおいて、「GP65-9SE-067JP」は決して目立つ尖ったモデルというワケではない。しかしMSIがメインストリームの主力に位置付ける製品だけに、高水準でバランスのとれた性能をもっており、パッケージとしてのお買い得感は際立っている。
Core i7-9750HとGeForce RTX 2060の組み合わせは、搭載ディスプレイの最大解像度であるフルHD環境において、重量級のタイトルを難なく動かせる構成だ。もしフレームレートを稼ぎすぎるような場合でも、144Hz駆動に対応する高リフレッシュレート液晶がそのスペックを活かしきってくれる。
そしてそれら性能を支える冷却システムは、上位モデルと同等の強力なもの。ディスプレイ仕様を含め、まさにクラスを超えた機能が詰め込まれている。20万円弱のゲーミングノートとして、多少背伸びをしなければ届かない機能が、一通り揃っているという印象だ。
多少のスペック差に加え、シンプルな外装など、上位モデルと比べた際にトレードオフになっている部分は確かにある。しかし「取るべきを取って、削るべきを削った」と言える、機能重視のバランス感覚はさすが。決して損をしないコストパフォーマンスモデルという、欲張りなコンセプトを体現した一台だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社