エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.790
2019.10.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
最終セッションでは構成パーツを用意し、Cooler Master「Silencio S600」をベースに組み込み作業を行う。マニュアルでは少々物足りない部分の補足であったり、実際に作業を行うことで気が付いたこと、組み込みのコツや周辺クリアランスなど、より詳細に解説していこう。
まずはマザーボードを搭載してみよう。台座となるスタンドオフはあらかじめマザーボードトレイに固定済み。合計9箇所を六角インチネジでネジ留めしていく。なお搭載テストにはMSI「MPG Z390 GAMING PLUS」を使用。基板サイズは305x244mmのATXフォームファクタに準拠している。
十分広い開口部だけに固定作業はしやすく、特に注意すべき点はない。なお周辺クリアランスは、トップパネルまでが実測約38mm、右方向標準ファンまでが実測約150mmだった |
マザーボードを取り付けたところで、CPUクーラーの有効スペースと、メンテナンスホールをチェックする。搭載可能なCPUクーラーの高さ制限は166mmまで。幅209mmのPCケースとしては広く確保できている印象だ。
CPUソケット上空の有効スペースは実測で170mm近辺。とは言え公称値166mm以下のCPUクーラーを選ぼう | CPUクーラーメンテナンスホールは実測で幅約165mm、高さ約145mmと十分だ |
ボトムマウントの電源ユニットは、以前詳細検証をお届けした、Cooler Master「V750 GOLD」(型番:MPY-7501-AFAAGV-JP)を選んだ。135mmファンを搭載し、奥行きは160mm。ちなみに有効スペースは180mmまでとされている。搭載方法は一般的なPCケース同様、背面からのインチネジ固定。マウントしてみたところ、同一フロアを分け合うシャドウベイユニットまでは、実測で約60mmを残している。公称値との差は、モジュラー式コネクタやケーブルにストレスが掛からない程度のマージンが考慮されているようだ。
搭載はできているものの、このままではモジュラー式コネクタの抜き挿しはしにくい。必要なケーブルは電源ユニット固定前に接続しておこう |
オールインワン型水冷ユニットの搭載も試してみよう。用意したのは9月から販売が開始されたばかりの新型「MasterLiquid ML240P Mirage」(型番:MLY-D24M-A20PA-R1)。120mmファン2基を並べた240mmサイズラジエターモデルだ。
「Silencio S600」に搭載できるのは、フロント面とトップ面の2箇所。前者の場合標準装備ファンを取り外してマウントする事になるが、チューブの長さを考慮すると、おのずとトップ面に搭載しなければならない。実際に固定してみたところ、透明デザインのポンプカバー付きウォーターブロックからも距離が近く、チューブにストレスが掛からない。
トップ面にキレイに収まった「MasterLiquid ML240P Mirage」の240mmサイズラジエター。ただし5.25インチ光学ドライブは共存ができず、排他仕様になる |
なおここでひとつ注意すべき点がある。近頃のマザーボードには、バックパネルI/O部に大型のカバーが装着されている。実はこのカバーがラジエターと干渉するケースが多い。当然ながらメーカーもその状況を把握しており、「Silencio S600」の資料には”35mm max motherboard component height”との記載がある。構成パーツの選定段階で知っておくべきことであり、今後周知徹底やPCケース側またはマザーボード側の両者で折り合いを付けなければならないだろう。
テスト構成ではカバーデザインにより干渉を起こす事はなかった | カバー頂天から全体の厚みを測ると38.6mmだった。35mm以上でも搭載できる場合もある |