エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.793
2019.11.04 更新
文:pepe
「AORUS AD27QD」の応答速度は最小で1msとなっているが、「Overdrive」の設定を変えることでどのような変化があるだろうか。OSDのデフォルト値は「Balance」に設定されているが、「Picture Quality」/「Balance」/「Speed」それぞれの違いを「Blur Busters UFO Motion Test」で確認してみよう。リフレッシュレートは144Hzに設定し、その際の映像をデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影した。
「Overdrive」については「Speed」に設定することで明らかに残像感が少なくなる。応答速度を上げる「Overdrive」は、その機能を有効にすることで画質が下がるなどトレードオフな場合があるが、テストではそうした現象も見受けられず安定していた。
最後のテストでは、モーションブラーを軽減しFPSゲームなどの照準を合わせやすくする「Aim Stabilizer」の効果を確認しよう。「Adaptive-Sync(FreeSync)」をOFFにして「Aim Stabilizer」をONにすると液晶全体の輝度が下がるが、これはバックライトの強制点滅により黒フレームを挿入し、フレーム更新時の残像を低減させているためだ。テストではリフレッシュレートを144Hzに設定し、「Overdrive」値を「Speed」に設定した際との違いを「Blur Busters UFO Motion Test」で確認する。
「Aim Stabilizer」をONにすると黒フレームではなく赤フレームが見える。また、赤フレームの後に強いシアン色が表示されているのが確認できる。通称「モーションブラー」と呼ばれる機能では一般的には黒フレームが挿入されるが、「AORUS AD27QD」では赤フレームによってモーションブラーを軽減させているようだ。
「Aim Stabilizer」により暗転した瞬間の残像は見えなくなるため、全体的な残像感は確かに減っている。またこの効果は一瞬のため、肉眼で見ても「輝度が下がった」以外の印象(“赤っぽい”や“シアンっぽい”)を受けることはないが、明転した際のシアン色が強いため、背景色がホワイトの部分では一瞬白飛びのような現象が起こっているようにも見える。実際の環境や効果に合わせて使うと良さそうだ。
GIGABYTEはこれまでマザーボードやグラフィックスカード、各種コンポーネントを手掛けていたが、2019年初頭に「AORUS」シリーズ初となるゲーミング液晶「AORUS AD27QD」を発表して以降、立て続けにゲーミング液晶をリリースしている。「eSportsのベストパートナーとなる戦術的ディスプレイ」を製品コンセプトに、そのゲーミング性能に妥協のないモデルばかりだ。
一般的なゲーミング液晶ディスプレイでは、要求スペックを満たしやすいTN方式のパネルを採用することが多い。しかし、「AORUS AD27QD」では、TN方式に比べて高速化が難しいIPS方式を採用しながら、WQHD(2,560×1,440ドット)解像度でリフレッシュレート144Hz、応答速度1msを実現している。さらに色深度10bit(8bit+FRC)による約10億7,374万色カラーや、DCI-P3を95%カバーする広色域表示、「DisplayHDR 400」の対応など、ゲーミング液晶ディスプレイとしてひとくくりにしてしまうのが、正直憚られるほど高性能だ。
最近では、リフレッシュレートと応答速度が早ければ「ゲーミング向け」と謳われてしまう液晶ディスプレイ。そんな中、現状ラインナップされている「AORUS」シリーズは、6製品すべてのモデルで144Hz以上の高リフレッシュレートに対応。最上位ではリフレッシュレート240Hz、応答速度0.5msという製品も存在する。最高のゲーミング環境を狙うのであれば、性能に妥協のない「AORUS」シリーズの液晶ディスプレイを常に意識する必要があるだろう。
協力:日本ギガバイト株式会社