エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.794
2019.11.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次に「ATTO Disk Benchmark 4.00」でもシーケンシャルアクセスの性能をチェックしておこう。
ATTO Disk Benchmark 4.00 |
読込は最高4.39GB/sec、書込は最高3.97GB/sec。公称値を上回る「CrystalDiskMark 6.0.2」ほどではないが、いずれもPCI-Express3.0(x4)の帯域幅を超える転送速度を発揮している。またここまでの結果を見る限り、圧縮率以外の影響をほとんど受けず、ベンチマークが変わっても安定して高いパフォーマンスが発揮できるのも評価できるポイントだ。
敢えてヒートシンクを取り外した状態でも計測を行い、その冷却性能をチェックしていこう |
最後に「MP600」シリーズに標準で付属するヒートシンクの性能をチェックしておこう。負荷テストは「CrystalDiskMark 6.0.2」のデータサイズ32GiB、テスト回数9回を3回連続で実施。約30分間連続した負荷をかけて、温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」を使い測定した。
ヒートシンクなしの「CrystalDiskMark 6.0.2」の結果 | ヒートシンク装着時の「CrystalDiskMark 6.0.2」の結果 |
「ヒートシンクなし」の状態では、テスト開始とともに一気に85℃まで温度が上昇。その後はサーマルスロットリングによって転送速度を強制的に下げることで、温度上昇は抑えられるが、テスト中に75℃を下回ることはなかった。一方「ヒートシンク装着時」は温度の上昇スピードが抑えられ、テスト中の最高温度は72℃で頭打ち。サーマルスロットリングも解消され、テスト中に大きくスコアが落ち込むこともなくなった。
ヒートシンクなし/アイドル時のサーモグラフィー結果 | ヒートシンクなし/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
ヒートシンク装着時/アイドル時のサーモグラフィー結果 | ヒートシンク装着時/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
またサーモグラフィーの結果を見ると、「ヒートシンクなし」の状態では最高90.5℃まで温度が上昇している。高速化に伴い発熱が増えたPCI-Express4.0(x4)接続SSDを使う場合は、必ず何らかの熱対策を施した上で運用するようにしよう。
従来の2倍にあたる64Gbpsという広大な帯域幅を活かし、読込は5,000MB/sec、書込でも4,200MB/secを超える圧倒的なスコアを叩き出したCORSAIR「MP600」シリーズ。
その性能を最大限に引き出すには、第3世代RyzenシリーズとAMD X570チップセットが必要になるが、そのパフォーマンスは間違いなくシングルSSDでは最高峰。特に大容量のデータを扱う最新ゲームや、高解像度の動画編集などでは、第3世代Ryzenシリーズで飛躍的に向上したCPU性能と合わせて、大いに力を発揮してくれることだろう。
高冷却なヒートシンクを搭載するCORSAIR「MP600」シリーズ。最近増えている、エントリークラスのAMD X570マザーボードとの組み合わせが特にオススメだ |
そして標準装備されるヒートシンクも秀逸。今回は約30分におよぶ高負荷テストを行ったが完全にサーマルスロットリングを抑制することができた。「MP600」シリーズなら、M.2ヒートシンクがない、もしくは簡略化されているエントリークラスのAMD X570マザーボードを使った場合でも、冷却性能を心配することなく最速かつ安定したストレージ環境を構築することができるはずだ。
協力:CORSAIR