エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.797
2019.11.17 更新
文:撮影・pepe
いよいよ「ROG SWIFT PG35VQ」のゲーミング液晶としての実力を検証していく。テスト環境は先ほどと同様、グラフィックスカードには「ROG-STRIX-RTX2080S-A8G-GAMING」を使用している。まずはリフレッシュレートの高さを動画で比較してみよう。レースゲーム「Forza Motorsport 7(無料試用版)」のレーススタート時のリプレイを使用し、リフレッシュレート60Hz/120Hz/180Hz/200Hzそれぞれの違いを比較する。なお、テストではディスプレイ同期「NVIDIA G-Sync」を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影した。
リフレッシュレートが高くなればなるほどその滑らかさは歴然としている。リフレッシュレート60Hzに対して120Hzを見比べれば十分な滑らかさを感じることができるが、さらに120Hzと180Hzを見比べると明らかな差があることを実感できる。トップクラスのプレイヤーにとってリフレッシュレート120Hz以上は必須環境と言えるだろう。
先ほどのリフレッシュレート180Hzと200Hzの動画を横並びで確認してみよう。今回用意したテスト用の環境ではコンスタントに200FPSを維持することが難しく、平均して160FPS程度だったため設定したリフレッシュレートよりも実際のFPSは低く、リフレッシュレート180Hz設定と200Hz設定で差は感じられなかった。しかしリフレッシュレート200Hzというオーバークロック状態でありながら出力される映像に乱れやノイズなど不安定な要素はないため、負荷変動によって一時的にFPSが跳ね上がることも踏まえると、より高リフレッシュレートな200Hzに設定しておいて損はしないだろう。
次は、ディスプレイ同期技術の「NVIDIA G-Sync」を無効にすると、どのような影響がでるかを見ていこう。先ほど同様に、テストにはレースゲーム「Forza Motorsport 7(無料試用版)」のレーススタート時のリプレイを使用し、リフレッシュレートはいずれも200Hzに設定。デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより、画面を直接撮影している。
「NVIDIA G-Sync」をOFFにすることで、ティアリングが顕著に発生。書き換え中の画像と書き換え前の画像が同時に表示され、結果として画面が水平方向にせん断されたような、不自然な画像のズレが表示されている。また平均して160FPS程度だったためフレームレート落ちによりスタッタリングも同時に発生し、ディスプレイ側のリフレッシュレートに対して不規則に描画が遅延するカクつきも認識できる。滑らかな描画が要求されるゲームプレイ時においては必須の機能といえるだろう。
「NVIDIA G-Sync」は「NVIDIAコントロールパネル」からON/OFFを設定することができる |
最後は応答速度についての機能をチェックしていこう。「ROG SWIFT PG35VQ」はOSDメニューの「Image」から「OD」を選択してオーバードライブ機能を設定する。設定項目は「Extreme」、「Normal」、「OFF」となっており、OSD標準設定では「Nomal」が選択されている。テストではいずれもリフレッシュレートは200Hzに設定し、「OD」の値を「Extreme」、「Normal」、「OFF」に設定した際の違いを「Blur Busters UFO Motion Test」で確認する。その際の映像は、先ほど同様にデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影した。
オーバードライブを設定することで「OFF」から「Nomal」、そして「Extreme」の順番で残像感が抑えられていることは確認できたが、「Extreme」設定時は背景がグレー部分で強いシアン色がかかった残像が確認できる。また若干ではあるが「Normal」設定時も同様の現象がわずかに見られる。「OFF」設定の際はこれらのシアン色がかかる現象は見受けられないが、残像の多さを踏まえると現状は「Normal」設定がベターと言えそうだ。しかしこれらは実際の仕様用途や環境にも左右される可能性があることを覚えておこう。
解像度3,440×1,440ドット、アスペクト比21:9、1,800Rのウルトラワイド液晶ディスプレイとしてはいくつか選択肢がある。しかしリフレッシュレート200Hz、応答速度2ms、加えて「G-SYNC ULTIMATE」認証の取得、さらには512分割で独立制御されるLFALD「フルアレイ・ローカルディミング」バックライト、ピーク時に1000 cd/㎡の輝度を誇り「DisplayHDR 1000」に対応、「量子ドット技術」による広色域DCI-P3を90%カバーするなど、これほどまでに豪華なスペックを持つモデルはもちろん「ROG SWIFT PG35VQ」しか存在しない。店頭売価は36万円を超え、ゲーマー向けのハイエンドPCよりも高価だが、ショップスタッフによると9月発売以降予想を上回る売れ行きで一部店舗では入荷待ちにもなる事実にも驚きだ。
一方で今回用意した「ROG-STRIX-RTX2080S-A8G-GAMING」とCore i7-9700Kを組み合わせたハイエンド環境をもってしても、リフレッシュレート検証においては200FPSを維持することができず、「ROG SWIFT PG35VQ」の上限性能を確かめることはできなかった。欲を言えば200FPSを軽く叩き出すマシンを手に入れたいところだが、解像度3,440×1,440ドットにもなれば、プレイするタイトルや設定にも左右されるが現状手に入る最上位のPC構成でも条件は厳しい。
しかし、「G-SYNC ULTIMATE」認証を取得した「ROG SWIFT PG35VQ」は、可変リフレッシュレート型同期機能「NVIDIA G-Sync」によりターゲットとするフレームレートに届かないシーンでは、同期を解除してスタッタリングを回避。負荷変動により生じるフレームレートの波に追従することで、今まで以上に最適化されたゲームプレイを実現する。やはり組み合わせるグラフィックスカードは、GeForce RTXシリーズのハイエンドモデルがベストチョイスだ。そして、今後より高性能なマシンを構築した際にも最大リフレッシュレート200Hzの余裕のある上限がPCのパフォーマンスを最大限に引き出してくれる。常に性能を追求するエンスーなユーザーにとっては、価格を度外視しても手に入れたい最強の環境と言えるだろう。
協力:ASUS JAPAN株式会社
エヌビディア