エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.804
2019.12.04 更新
文:/撮影・pepe
続いてプロフェッショナル向けの映像編集ツール「Adobe Premiere Pro」の処理性能を確認しよう。使用するベンチマークは、同じくPuget Systemsが公開する「Puget Systems Adobe Premiere Pro CC Benchmark」だ。なお、本ベンチマークはベータ版であるため、実行される環境等の違いでスコアが左右される。参考程度としてほしい。
このベンチマークでは、4K解像度、59.94フレームのH.264、ProRes422、REDのメディアを使い、「Lumetri Color」によるカラーグレーディングと、「MultiCam」を使用した4トラックから成る全12クリップのシーケンスの再生をテストする「Standard Live Playback Score」、メディアを出力保存する「Standard Export Score」、その他CPUおよびGPUによる個別処理を実行し、それらの結果をもとに算出されたスコアを「Overall Standard Score」としている。
なお参考となるサンプルには、CPUにCore i9 9980XE、グラフィックスカードにGeForce RTX 2060 SUPER、メインメモリ128GBを搭載したシステムのスコアを採用している。
メディアを変換して出力保存する「Standard Export Score」については、コア数やスレッド数に影響を受けやすいが、「Adobe Premiere Pro CC」も基本はシングルコア性能に依存する。特に負荷が高い「MultiCam」を使用したシーケンス、4K解像度素材のCPUエフェクト処理ではフレームレートが落ち込む。ポストプロダクションの内容にも左右されるが、高解像度、高ビットレート環境の編集ではより上位モデルのCPUへと構成変更すると良いだろう。
プロフェッショナル向けのモーショングラフィックスツール「Adobe After Effects」の性能についてもチェックしておこう。計測には「Puget Systems Adobe After Effects CC Benchmark」を使用し、性能を数値化している。なお、本ベンチマークはベータ版であるため、実行される環境等の違いでスコアが左右されるため参考程度としてほしい。
このベンチマークでは、コンポジションのレンダリングを行う「Render Score」、レンダリングを行わないRAMプレビュー「Preview Score」、3D Camera Trackerの解析処理を行う「Tracking Score」に加え、それらをまとめて算出したスコアが「Overall Score」として計測される。なお、基準となるリファレンススコアは、「Puget Systems Adobe Photoshop CC Benchmark」と同じだ。
高性能なグラフィックスカードを使用したほうが快適と思われがちなアプリケーションだが、実際のところVRAMを6GB以上搭載していれば影響が少ない。なおマルチスレッド処理に最適化されていないため、シングルコア性能が重要となってくるが、Zen2アーキテクチャーによってコア性能が向上したことで、Ryzen 7 3700Xの処理性能に不足を感じることはない。またCPU内部バスクロック同期させ1:1で動作させる場合、エンスージアスト向けの高クロックメモリ使った非同期オーバークロックを除いて、3,200MHzで運用するのが一番お手軽かつ安定もする。この手のアプリケーション処理を目的とするのであれば「Silent-Master NEO B450A」においては、32GB(16GB×2枚)構成が最適解と言えるだろう。
ここからは負荷テストにおけるCPUとGPUの温度をチェックしていこう。ストレステストは「3DMark Time Spy」をカスタムした60分間のオリジナルのループテストを実施。温度の計測には「HWiNFO」を使用し、アイドル時は起動直後約5分放置した数値を採用、計測時の室温は22℃だった。
静音だけを意識したシステムでは、連続した高負荷で徐々に温度が上がってしまうことがあるが、Ryzen 7 3700Xの最高温度は73.6℃、MSI「RX 5700XT EVOKE OC(8GB)」の最高温度は73.0℃とどちらも余裕の結果に収まった。ケースフロントとリアにファンを1つずつしか搭載していないにも関わらず、効果的なエアフローで温度上昇を抑えられていることが分かる。