エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.812
2019.12.23 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
まずは定番の3Dレンダリング系ベンチマーク「CINEBENCH R15/R20」を動作させ、純粋なCPU性能から見ていくことにしよう。
「CINEBENCH R15」のマルチコアテストは、いずれも1600cbオーバーの良好な結果。最大12スレッドのマルチスレッド性能が遺憾なく発揮されている。また、第3世代Ryzenになり改善されたシングルスレッド性能も、十分なスコアをマーク。競合を含め上位モデルとそう見劣りしない200cb前後の数値が出ており、ゲーミング向けのタスクでも底力が期待できそうだ。
そしてオーバークロックにより、目に見えてスコアが向上している点も要チェック。発熱や消費電力増などの影響は後ほど見ていくとして、気軽に手持ち環境のパフォーマンスアップが狙える点は、耐久性に重きをおいたマザーボードならではと言える。
続いて、よりメニーコアCPU向けに最適化された「CINEBENCH R20」の結果を見ていこう。得意とするマルチコアテストは定格でも3600オーバーと、2万円台半ばで購入できるミドルレンジCPUとしては、十分すぎるほどのスコアをマーク。シングルコアテストでも500に迫る結果で、これまたシリーズ最下位モデルとは思えない、コストパフォーマンスに優れた特性を示してくれた。
また、オーバークロックによりマルチコアテストで5%ほどのスコア差が出ており、総合的に安定した性能の向上が見込める。標準のブーストクロック4.2GHzに対し4.3GHz固定と動作クロックが上なこともあり、シングルコアテストのスコアでも優位性を発揮していた。
次に3Dベンチマークテストの定番である「3DMark」を動作させ、グラフィックス性能をチェックしていこう。Radeon RX 5500 XTがフルHDゲーミング向けのGPUであることから、テストプリセットにはフルHD解像度(1,920×1,080ドット)の「Fire Strike」をチョイス。さらに「Fire Strike Extreme」と「Time Spy」を合わせて動作させ、DirectX 11およびDirectX 12におけるWQHD(2,560×1,440ドット)解像度でのパフォーマンスも並べて見ていくことにした。
WQHD解像度での各種テストでも健闘を見せてくれたものの、テスト中のフレームレートは30fps前後と、快適プレイにはもう一息と言ったところ。その一方で主戦場であるフルHDの「Fire Strike」では、フレームレートも60~70fps前後を出しており、十分なスコアをマークしている。フルHD環境であれば、ほぼプレイタイトルを選ばず快適なプレイが楽しめそうだ。
ちなみに「3DMark」においては、CPUのオーバークロックによる性能向上はそれほど大きくはない。しかしCPU性能を評価するPhysics scoreは定格比で5~6%ほど上回っており、着実に効果は出ている。CPU性能がボトルネックになりにくいという側面もあり、冷却などが十分に間に合っていれば、オーバークロックを狙ってみるのも悪くないだろう。
実際のゲームプレイを想定したテストとして、人気MMO RPGの最新アップデート版「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテストを動作させてみる。描画品質は“最高品質”に設定し、1,920×1,080ドットと2,560×1,440ドットの解像度で計測。それぞれの環境でどの程度の快適さが見込めるだろうか。
ベンチマークテストにおける“非常に快適”の基準は7000だが、WQHD解像度でもそのラインを軽々と上回り、ゲームタイトル次第では高解像度でのプレイも可能だ。ベンチマーク中の平均フレームレートもWQHD環境で50fps半ば、フルHD環境では80fps以上をマーク。WQHD解像度の大画面でリッチなプレイを楽しむもよし、フルHD環境で高リフレッシュレート液晶を組み合わせて遊んでもいい。
なお、それほど大きな差にはなっていないものの、オーバークロックによる効果も確実にスコアに反映されている。常時定格以上のクロックに固定されることもあり、突発的に負荷がかかるシチュエーションでは底力を発揮してくれそうだ。