エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.813
2019.12.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ここからは、動的機械学習アルゴリズムを使い、CPUやCPUクーラーの特性を元に自動的に最適化する「AI Overclocking」と、コアごとに最適なクロックを設定できる「By Specific Core」を試してみることにしよう。いずれも詳細な設定は不要だが、実際にどの程度パフォーマンスを引き上げることができるのだろうか。なおベンチマークには「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を使用した。
「AI Overclocking」や「By Specific Core」の設定も「Extreme Tweaker」タブから可能(「AI Overclocking」は「EZ Mode」からも選択可能) | 「By Specific Core」では、「Auto」設定のほか、コアごとに手動でクロックを設定できる |
「AI Overclocking」が有効になると、起動時のロゴ画面にオーバークロック率が表示される |
「AI Overclocking」では、マルチスレッド処理時に全コア4.30GHzで動作 | 「By Specific Core」では、4.30GHz~4.70GHzまでコアごとに最適化したクロックで動作 |
定格動作では、マルチスレッド処理時のクロックは最高3.30GHzで頭打ちになるが、「AI Overclocking」を有効にするとすべてのコアが4.30GHz、「By Specific Core」では、コアによっては4.70GHzまでクロックが上昇した。また「CINEBENCH R15/R20」のスコアもシングルコアではいずれも約7%、マルチコアは「AI Overclocking」で約30%、「By Specific Core」では約38%と大幅に上昇した。あくまでもCPUクーラーの冷却性能が十分であることが条件になるが、「ROG Rampage VI Extreme Encore」に実装されている簡易オーバークロック機能は非常に優秀だ。
続いて消費電力を確認すると、「AI Overclocking」では約145W増、「By Specific Core」では約210W増とかなり強烈な数字。「ROG Rampage VI Extreme Encore」自慢の堅牢な電源回路のおかげで、テスト中に不安定になることはなかったが、Core Xシリーズでオーバークロックをする場合には、電源ユニットの容量と品質にも注意を払いたい。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
最後に電源回路の発熱をチェックするため、定格駆動でストレステスト「OCCT 5.4.2:CPU:OCCT」を30分間実行した際のMOSFETの温度とサーモグラフィの結果を確認しておこう。今回は水冷ユニットを使用しているため、電源ユニット付近のエアフローはあまり良くない状態だが、MOSFETの温度は最高で55℃。テスト中(「AI Overclocking」「By Specific Core」含む)は一切冷却ファンが回転することはなく、電源回路の冷却にはまだまだ余力が残されている。またサーモグラフィの結果を確認すると、高負荷時にはヒートシンク全体の温度がまんべんなく上がり、効率よく放熱できている様子が確認できた。
ASUSの技術の粋を集め“あらゆる面で最高を目指して”開発された「ROG Rampage VI Extreme Encore」。特に「新型Core X」シリーズに最適化したネイティブ16フェーズ電源回路は、200W以上も消費電力が増加する「By Specific Core」でもびくともしない圧巻の出来栄え。これなら常用オーバークロックはもちろん、エクストリームなオーバークロックでも電源回路の出力がボトルネックになることはないだろう。
そしてこの堅牢な電源回路を活かした自動オーバークロック機能もなかなか強力。細かい設定なしで30%以上もの性能アップを達成でき、常用レベルであればCPUの持つポテンシャルをほぼ最大限に引き出すことができる。今、Intelプラットフォームで最高峰のPCを組むなら「ROG Rampage VI Extreme Encore」と「新型Core X」の組み合わせは筆頭候補に挙げられる。
息の長いチップセットになったIntel X299。特にSkylake-Xと同時に組んだ場合、CPUではなくインターフェイス面で不満がある人も多いのではないだろうか。そういったユーザーのアップグレードパスとしてもオススメだ |
また10ギガビットLANや、Wi-Fi 6無線LAN、USB3.2 Gen.2×2など、最新インターフェイスを網羅していることから、すでにSkylake-XやSkylake-X Refreshを使っているユーザーのアップグレードパスとしても有望な選択肢になるだろう。
協力:ASUS JAPAN株式会社