エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.814
2019.12.27 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
セッションの最後に、システムの消費電力とGPU温度をチェックしておこう。テスト方法は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用し、計測はワットチェッカーで行っている。
OCなしの場合、アイドル時の消費電力は60W台後半で、高負荷時の最大値は383W。かなり高めの数値だが、このクラスのGPU、かつオーバークロックモデルであればやむを得ない値だろう。OC時にはアイドルで5W、高負荷時で8Wほど消費電力が高まるが、高負荷時の伸びがゆるやかで、電力的には健闘している。「OC Scanner」が電圧を適切に調整している成果だろう。本製品が推奨してれる電源ユニットの容量は650Wクラス以上だが、それだけあれば電力が不足することはまずなさそうだ。
続いて、オリジナルVGAクーラーの冷却性能も見てみよう。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」実行時の温度の推移を「HWiNFO 64」で取得している。
通常時は最大温度が64℃、OC時は最大温度65℃と、どちらの計測でもGPU温度は70℃に届かず頭打ちになっており、高性能なGPUの発熱を非常によく制御できている。セミファンレス動作のため低負荷時はそれほど冷えないが、OC Scanerによる軽度のOC状態で利用するには、温度を心配する必要はまったくないと言えそうだ。
総じて「GeForce RTX 2070 SUPER GAMING X TRIO」は、WQHD解像度はもちろん、タイトルによっては4K解像度のゲームの快適動作も狙える優れた性能を発揮。ハイエンドグラフィックスカードに欠かせないOC機能や冷却性能も充実した手堅いモデルに仕上がっている。特に高負荷時のGPUを冷やしきる「TRI-FROZR」の実力はなかなかのもので、手動OCによるさらなるハイクロック動作を狙いたくなるポテンシャルを備えているのは中~上級者にも嬉しいポイントと言えるだろう。
加えてVGAクーラーには「トルクスファン3.0」を搭載し、冷却性能向上に最適化されたヒートシンクと密集型ヒートパイプの構成により、OC状態でも優れた静音性能を実現。PCケース内部から聞こえる動作音が気になる事はなかった。
実勢価格は70,000円前後。豪華な仕様を採用するためGeForce RTX搭載モデルとしてはそれなりに値が張るが、このあたりは致し方ないところ。長く安定して利用したいカジュアルユーザー、OCを楽しみたい玄人ユーザーにおすすめしたい製品だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社