エルミタ的「編集部で使ってみた」
2019.12.31 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後に「CARDEA ZERO Z440」の最大の特徴でもある「グラフェン銅箔熱伝導材」ヒートシンクの冷却性能をチェックしていこう。比較対象として、ヒートシンクを標準装備していないCFD「PG3VNF」シリーズの1TBモデル「CSSD-M2B1TPG3VNF」を用意。マザーボードのヒートシンクは使わず、負荷テストは「CrystalDiskMark 7.0.0」のデータサイズ64GiB、テスト回数9回を3回連続で実施。約30分間連続した負荷をかけた場合の、温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」を使い測定した。
最高温度はいずれも84℃まで上昇。グラフからはサーマルスロットリングと思わる症状も確認でき、長時間高負荷状態が続くテストでは、超薄型の「グラフェン銅箔熱伝導材」ヒートシンクだけで、完全に発熱を抑えることはできない。しかし「CARDEA ZERO Z440」の方がテスト開始時の温度上昇は緩やかに。さらに各テストの間にあるインターバルタイム中の温度低下が速く、放熱効果は確実にあるようだ。そこで、データサイズ1GiB、テスト回数5回へとテスト条件をゆるくした状態で温度の違いを測定してみることにした。
「CARDEA ZERO Z440」:アイドル時のサーモグラフィ | 「CARDEA ZERO Z440」:高負荷時のサーモグラフィ |
「PG3VNF」:アイドル時のサーモグラフィ | 「PG3VNF」:高負荷時のサーモグラフィ |
グラフ形状はほぼ同じだが「CARDEA ZERO Z440」のほうが全体的に温度は低くなっている。ちなみに最高温度を確認すると「PG3VNF」では、データサイズ64GiB、テスト回数9回と同じ84℃まで上昇してサーマルスロットリングが発生する。一方、「CARDEA ZERO Z440」は78℃までしか上がらず、サーマルスロットリングと思われず症状は発生していなかった。またテスト中のサーモグラフィの結果を見ると、コントローラ部分を中心にヒートシンク全体にまんべんなく熱が行き渡っている様子が見て取れる。
最後に「X570 Taichi」に標準装備されているヒートシンクを搭載した場合の温度も確認しておこう。「X570 Taichi」のヒートシンクが高性能なこともあり、最高温度はいずれも55℃で横並び。ただし平均温度を計算したところ「CARDEA ZERO Z440」が49.04℃だったのに対して、「PG3VNF」は50.92℃。約2℃の差があり、マザーボードのヒートシンクを搭載した場合でも効果はあるようだ。
なお一つ注意点として、マザーボードのヒートシンクに粘着力の強い熱伝導パッドが使用されている場合、「グラフェン銅箔熱伝導材」ヒートシンクにピッタリと張り付いてしまうことがある。強引に剥がすとSSDを破損してしまう可能性もあることから、取り外す場合は慎重に作業を行いたい。
特許取得の「グラフェン銅箔熱伝導材」を使用することで、ヒートシンクの厚さをわずか0.2mmに抑えた「CARDEA ZERO Z440」。さすがに長時間高負荷状態が続くテストでは冷却性能が不足し、これだけで万全の発熱対策が行えるわけではない。とは言え、テスト中の温度上昇は緩やかに、温度低下は速くなる。さらに負荷時間を短くしたテストでは、ヒートシンクなしに比べて最高温度で6℃もの差がつき、その効果は明らかだ。
またパフォーマンス面に目を向けるとシーケンシャルアクセスは最高5,000MB/sec超え、ランダムアクセスは約800,000IOPSにあと一歩に迫るスコアを記録。いずれもPCI-Express3.0(x4)の限界を超え、シングルSSDでは間違いなく最高峰の性能を発揮する。
もちろん超薄型の「グラフェン銅箔熱伝導材」ヒートシンクは、マザーボード(や市販)のヒートシンクと干渉する心配もなし。さらに併用することで冷却性能を引き上げる効果もあることから、これから第3世代RyzenシリーズとAMD X570マザーボードでPCを組むなら間違いなくオススメだ。
協力:Team Group
株式会社アユート