エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.821
2020.01.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「Time Spy Extreme Stress Test」を使用し、アイドル時は起動してから10分間放置した時の最低値を、高負荷時はテスト実行中の最高値を採用している。
省電力機能によって、GPUコア、メモリとも大幅にクロックが低下するアイドル時はいずれも80W後半で誤差の範囲。一方、高負荷時は「ROG-STRIX-RX5600XT-O6G-GAMING」の288.4Wに対して、Radeon RX 5700 XTは369.4Wで、TBP(Typical Board Power)を上回る81Wもの差がついた。最新VBIOSの適用によって、消費電力の増加を気にしている人もいるだろうが、ハイエンドモデルとはしっかり差別化されており、それほど神経質になる必要はない。
テストセッションのラストは消費電力と同じ条件で、VGAクーラーの冷却性能をチェックしていこう。なおGPU温度の測定は「GPU-Z 2.29.0」を使用している。
完全ファンレス駆動となるアイドル時でも40℃前半で冷却性能に不安はなし。また高負荷時は「GPU Temperature」が最高57℃、「GPU Temperature(Hot Spot)」でも最高67℃で頭打ち。ファンの回転数も約45%の1,550rpm前後で推移しており、冷却性能は完全に飽和している。せっかくなので高い冷却性能と、堅牢な電源回路を活かし、より高クロック動作を狙ってみるのも面白そうだ。
“究極のフルHDゲーム環境”を目標に掲げて開発された、AMDの新ミドルレンジGPU Radeon RX 5600 XT。新VBIOSの影響もあるが、今回の検証では、全てのテストでフルHD解像度なら最高画質でも快適なプレイが可能。さらに一部のゲームではWQHD解像度も視野に入るなど、謳い文句以上の性能を発揮した。それでいて消費電力は控えめ。発熱も抑えられており、ミドルレンジらしい扱いやすさも兼ね備えている。
そして今回の主役である「ROG-STRIX-RX5600XT-O6G-GAMING」に目を向けると、大幅なクロックアップに耐える堅牢な電源回路や、14Gbpsのビデオメモリ、静音性と冷却性能を両立したVGAクーラーなど、隙のない仕上がり。300mmを超えるカード長や、2.7スロットという厚さのため搭載するPCはやや選ぶものの、ハイエンドに限りなく近いパフォーマンスを手に入れることができるのは魅力的だ。
またASUSにはミドルレンジであるRadeon RX 5600 XTの省電力性を活かし、「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」のようなスモールフォームファクタ向けのコンパクトモデルにも期待したい。
協力:ASUS JAPAN株式会社