エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.822
2020.01.26 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
セッションの最後に、システムの消費電力とGPU温度をチェックしておこう。テスト方法は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用し、計測はワットチェッカーで行っている。
アイドル時の消費電力はGaming Mode、OC Modeともに約50Wで、高負荷時の最大値はGaming Modeが315W、OC Modeが321W。本体のコンパクトさがアピールされているため見落としそうになるが、電力的には普通のGeForce RTX 2070と変わらないレベル。昨今のスタンダードと言える容量600Wクラスの電源ユニットであれば問題なく扱える水準である一方で、小型PCではより低容量な電源ユニットを採用することもあるだろう。念のため、450Wくらいは確保しておきたいところだ。
冷却性能についても見てみよう。今回は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」実行時の温度の推移を「HWiNFO 64」で取得している。
ベンチマーク中の温度はおおむね70℃といったところで、「ROG STRIX」などの高機能モデルに比べれば冷却性能は高くない。ただし、小型PCで使われがちなシングルファン搭載タイプのショート基板グラフィックスカードであれば、高負荷時の温度が80℃を超えてくるのも当たり前。小型PCを想定したGPUとしては及第点と言えそうだ。
「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」は、本体サイズをコンパクトにまとめつつ、GeForce RTX 2070のポテンシャルをしっかり引き出している、小型PC向けとしては替えの利かない唯一無二のグラフィックスカードだ。実勢価格は56,000円前後で、同じくGeForce RTX 2070を搭載するカードとしては平均的な価格帯に収まっている。発売を控える「Intel NUC 9 Extreme Kit」や「Intel NUC 9 Pro Kit」への搭載用としてはもちろん、Mini-ITXなどの小型PCケースで自作をしたいユーザーにもおすすめしたい。
ちなみに「CES 2020」では、IntelのNUCをベースにしたRazerの小型PC「Razer Tomahawk」も展示されており、こうした小型かつハイスペックなベアボーンPCが各メーカーからいくつか登場する可能性もある。日本市場でこうした小型製品が好まれる傾向が強いことを考えれば、そうした点でも、「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」は注目度の高いグラフィックスカードと言えるだろう。
協力:ASUS JAPAN株式会社