エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.823
2020.01.28 更新
文:こまめ
バッテリー駆動時間の公称値は、最大で10時間とされている。「BBench」(10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWeb巡回を有効)で実際の駆動時間を計測したところ、10時間26分でバッテリー残量が5%に達し休止状態へ移行した。
だがこのテストは、Windows 10や標準収録ユーティリティである「Creator Center」のパフォーマンス設定をもっとも低い状態にした上でのものだ。通常のパフォーマンス設定では、2~3時間程度でバッテリー切れとなってしまう点に注意していただきたい。ちなみにテストでは「NVIDIAコントロールパネル」の「優先するグラフィックス」を「統合型グラフィックス」に設定したが、「自動」に変更した上で同じテストを行なうと駆動時間は3時間27分と大幅に減少する。「GeForce GTX 1650」が大きくバッテリーを消費していると考えていいだろう。
付属の電源アダプタ。重量は実測で429gと軽く、本体との合計重量は1.69kg程度 |
GPUを利用したクリエイティブな作業での実駆動時間は2~3時間とかなり短いが、電源アダプターを一緒に持ち歩けば問題ない。本体との合計重量は約1.69kgと軽量なので、重さはそれほど苦にならないはずだ。メールや資料の確認など軽めの作業ではパフォーマンスを落としてバッテリー効率を優先し、負荷の高い作業では電源アダプターを接続してパフォーマンスを優先する使い方に向いている。
「Prestige 14」はパフォーマンスが高く本体はスリムかつコンパクトではあるものの、高負荷時の排気音が大きい。特に「Creator Center」の「システムチューナー」で性能を「Sport」、ファンを「Cooler Boost」に変更して最大パフォーマンスを発揮できる状態にすると、通気口からの排気音がうるさく感じるほどだ。簡易騒音計での計測結果は47.5dBAで音としてはそれほど大きくないのだが、高音域の風切り音なので耳についてしまう。ファンを「自動」に設定すれば43.4dBAと静かになるので、状況に応じて切り替えて使うといい。
排気口は本体ベース部分背面側のヒンジ付近。利用者の正面に近い場所に設置されているので、排気音がダイレクトに耳に届く |
各種ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのように、今回使用した「Prestige-14-A10SC-165JP」は「Core i7-9750H」を搭載した従来のクリエイター向けノートPCに迫るパフォーマンスだ。4K動画の編集や高度な3D制作にはやや厳しいものの、フルHDの動画編集やデジタル一眼レフカメラで撮影したRAW画像の現像にはまったく問題ない。しかも本体は軽量スリムで、持ち運びは苦にならないレベル。機動性の高いクリエイティブノートPCとしておすすめだ。
一方、CPUに4コア/8スレッドの「Core i7-10510U」を搭載した4Kモデル「Prestige-14-A10RB-255JP」とフルHDモデル「Prestige-14-A10RB-250JP」は、CPUやGPUの性能よりもメモリー性能が影響するイラストやデザインの制作に向いている。特に4KモデルはAdobe RGBカバー率100%相当と色域が広いので、印刷物の制作にもピッタリ。用途に合わせて、最適なモデルを選んでいただきたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社