エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.825
2020.02.02 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、早速に「TRX40 Taichi」をパッケージから取り出し、その機能をエリア別にチェックしていく。まずはTDPが280Wに引き上げられた第3世代Ryzen Threadripperを動作させる上で、極めて重要になる電源回路だ。
ATXサイズに収めるためか、集積度高めの印象を受ける「TRX40 Taichi」の電源周り。ちなみに従来と同じように見えるソケットは、互換性のないSocket sTRX4が採用されている |
16フェーズ構成のデジタル電源回路には、いずれも厳選された高品質コンポーネントを採用。最大90A出力が可能なMOSFET「Dr. MOS」、飽和電流を通常の4倍に高めた(同様に最大90A対応の)「プレミアム90Aパワーチョーク」、コンデンサには12,000時間以上の長寿命を誇る「ニチコン12Kブラックキャップ」が使われている。2系統のEPS12V 8pin補助電源を分離させた独特なレイアウトもまた、電力変換効率や安定性を高めるための設計だ。
そして電源回路の冷却には、2基の冷却ファンとヒートパイプを組み合わせた大型の「XXL アルミニウム合金製ヒートシンク」を搭載。VRM用の冷却機構としては、最大級の大掛かりなものだ。背面はサーマルパッドを介して「Metal Backplate」に接し、こちらもVRM全体の放熱を助けている。
また、サーバーグレードの耐久性をもつ「高密度ガラス繊維 PCB」は、合計4層の2オンス銅箔層を組み合わせた8層構造。信号の安定性を高めるとともに、基板全体を使った放熱を可能にしている。
電源回路の冷却を担う、大型の「XXL アルミニウム合金製ヒートシンク」。第3世代Ryzen Threadripperの発熱に対応するため、上部のヒートシンクには小型ファンを2基搭載している |
L字型に配置されたヒートシンクは、お互いがヒートパイプで連結された大掛かりな構造だ | コンデンサには、通常のハイエンド機種に比べ20%以上も長寿命な「ニチコン12Kブラックキャップ」を採用している |
マザーボード最上段のCPUソケット直上にズラリと並ぶ、16フェーズ構成の電源回路。CPUコアの12フェーズと、アンコア部の4フェーズに分割されて実装されている |
左右に分離配置された、EPS12V 8pinのCPU補助電源コネクタ。すべての電源フェーズへより効率的に電力を供給するためのレイアウトで、発熱の抑制とシステムの安定性向上を実現している |
第3世代Ryzen Threadripperでは、ソケットとともにチップセットもAMD X399からAMD TRX40へと刷新。最大の特徴はPCI-Express4.0の対応と、それに伴うインターフェイス帯域幅の大幅な向上だ。
冷却ファンを内蔵したチップセット用ヒートシンクは、「Taichi」シリーズお馴染みのギアをモチーフにしたデザインを採用。M.2 SSDヒートシンクと一体化し、マザーボード下半分を覆う「Heatsink Armor」を形成している |
PCI-Express4.0(x8)で接続されるCPU・チップセット間の通信は16GB/secで、これは前世代の実に4倍。さらにCPUとの合計で88レーンに達する豊富なレーン数により、これまで以上に多数のPCI-Expressデバイスを同時に、かつ高速に扱えるようになったというワケだ。
そのほか、AMD CrossFire X/NVIDIA SLIのマルチGPUやNVMe RAID、最新ストレージ高速化技術「StoreMI」に対応。最大20のSATA3.0ポート、最大12のUSB3.2 Gen.2ポートをネイティブでサポートしている。
チップセットを確実に冷却するため、高密度のアルミフィンと長寿命なEBRベアリングファンを搭載。最大50,000時間の製品寿命があり、フルスピードでも約5.7年間動作するという |
カバーを取り去ると、基板中ほどまでヒートシンクが伸びる大掛かりな形状であることが分かる。チップセットとサーマルパッドを介して接触、4箇所でネジ留めされていた |
第3世代Ryzen Threadripper対応の新チップセットとして登場した「AMD TRX40」。PCI-Express4.0に対応、CPU・チップセット間の通信も大幅に高速化した |