エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.833
2020.02.21 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
次にグラフィックスカードを搭載してみよう。「オープンレイアウト」の場合、拡張カードの有効スペースは最大491mm(フロントファン搭載時は467mm)で、基板幅は150mmまでとされている。さすがこれだけの広いスペースがあれば、市場に流通するどんなグラフィックスカードでも搭載できるだろう。ただし「ストレージレイアウト」を選択した場合は、長さ315mmまで一気にスペースが短くなる。近頃のPCパーツ選びは、事前にPCケースの構造をよく理解しておく必要がある。
搭載テストにはMSI「GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO」をチョイス。基板幅は140mm、長さは327mm(厚さ55.6mm)だけに、オープンレイアウトでは問題がないが、ストレージレイアウトには不向き |
最後に各種ドライブを取り付けてみよう。出荷時における「オープンレイアウト」時の最大収納数は、5.25インチオープンベイx1、3.5/2.5インチ共用シャドウベイ(ケージタイプ)x2、2.5インチ専用トレイx2、3.5/2.5インチ共用マルチブラケットx1だ。さすがに「ストレージレイアウト」よりも収納力は落ちるものの、オプションを追加する事で搭載数を増やす事ができる。
5.25インチオープンベイにDVDスーパーマルチドライブをマウント。ネジ留めは前寄り左右各1本のミリネジで行う仕組み。思いの外しっかりと固定ができた |
シャーシ側開口部には2本のネジで固定された枠を装備。これを取り外し、搭載向きを変更する必要がある。なお標準装備ファンは開口部を避けるように、下部へ移動させておく |
ケージタイプの2.5/3.5インチ共用シャドウベイに3.5インチHDDを固定 | 2.5インチ専用トレイ部にはコネクタを下向きにSSDを固定する |
2.5インチ専用トレイはボトムカバー(シュラウド)上部に移動可能。別売りのトレイ「SSD tray kit-Type B-White(2 pk.)」を追加すれば、収納力がアップする | マルチブラケットに3.5インチHDDを固定。2.5インチSSDを固定する事もできる |
複雑な構造により、性格を変える「Define 7」。前作「Define R6」の設計思想を色濃く残し、もう一段レベルの高い筐体に仕上げられていた。歴代モデルに触れているからなお、着実に熟成された「正常進化」を感じさせる。まったくと言っていいほど癖のないミドルタワーPCケースであり、これが初の「Define」シリーズという人でも、違和感なく誰もがスムーズに組み込み作業ができるだろう。
とは言え、決して無個性ではない。シンプルなデザインながらFractal Design流のルールがあり、開閉ドアのデザインや高密度防音素材による防音対策、通気孔のレイアウトやケーブルマネジメント機構まで、モデルが進化しても変わらないFractal Designらしさを、随所に感じる事ができた。
さて、最後に気になっていた「R」が消えた理由について触れておこう。これは「ネーミングの見直し」であるという。創業以来、ネーミングにプラットフォームや製品ファミリーという括りは設けられていなかった。しかしFractal Designというブランドが大きく成長したことでこれを見直し、今後は製品ファミリーを軸として、プラットフォームごとにアルファベットが付くようになるという。
今回の主役はミドルタワーの「Define 7」だったが、さっそくフルタワー「Define 7 XL」も用意されている。実は「XL」の評価サンプルも既に到着済み。矢継ぎ早に開封する事になる。こちらもお楽しみに。
協力:Fractal Design
株式会社アスク